HYPNOTIC DOLLS annex
企画・リク用別館。 DOLLS・同人・BLに興味の無い方はご遠慮ください。
欲しいもの。その2。
- 2009/09/12 (Sat) |
- Novel |
- CM(2) |
- Edit |
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お題『清寿が欲しいもの』
第二弾は式部×上條。
今回はネタバレ無しです。。ご安心を。
普通にスキンシップしてくる式部にオタオタする上條。。
というリクエストにお応えしてみました。
第二弾は式部×上條。
今回はネタバレ無しです。。ご安心を。
普通にスキンシップしてくる式部にオタオタする上條。。
というリクエストにお応えしてみました。
―Laws of Gentleness―
「。。。?」
微かな音に反応して目を遣ると、式部は優しく微笑んだ。
「あれ?君は。。。」
「よぉ、上條」
「お疲れさま~」
普段は朝と夕方、部長室に行く時にすれ違うくらいしか顔を合わせる事など無いのにこんな時に限って第一に出くわすなんて。。。ついてない。
上條は大きな溜め息をついた。
「お疲れ様です」
いつでも一番目と二番目に見たくない顔が、緊張感無く笑っている。
その横で静かにお辞儀をしている藤堂の苦労が忍ばれた。
「あれ?上條隊長、ひとりなの?」
式部が訊いてきたが、そんなのアンタ達にはこれっぽっちも関係無い。
だから答える義務も無い、とばかりに無視して口の中で小さく舌打ちしたその刹那、上條の額に何かが触れた。
「上條隊長っ、眉間にシワ寄ってるよ。はーい、伸ばして伸ばして~」
眉と眉の間のシワを伸ばそうとするように、式部の指が顔の上で小さな円を描く。
式部はいつの間にか手袋を外しており、その指先から体温が伝わってきて、こんな風に他人に触れられるのに慣れていない上條は動揺した。
「止めてくださいっ」
払い除けようとした手は空振って、一度離された指がまた髪に触れる。
「綺麗な顔なんだから」
コンプレックスの素である目を隠そうと長く伸ばしている前髪が、サラリと掻き上げられた。
「だから、止め。。。っ」
頭の上に置かれた式部の右手を煩わしく見上げた時、袖口からチラッと覗いたシャツに黒く変色しかけた血液の染みが付いているのに気付き、上條は途中まで持ち上げていた手を身体の横に下ろして静かに握った。
「?」
「腕に。。。血が」
ああ!と小さく呟いて、式部はコートの袖から中を覗き込んだ。
「これ?これは大したことないよ」
捲り上げたシャツの下にはまだ出来たばかりらしい生々しい傷跡が有った。
「弾が掠っただけだから」
赤く焼け爛れた皮膚の上を、長い指がすぅっと撫でる。
この程度の傷なんて見慣れている筈なのに何故か直視出来なくて、目を逸らす。
「!」
頭の上に手が乗って、上條は息を飲んだ。
式部のする事は予測不可能で、どうしても反応が遅れる。
「上條隊長は優しいんだね」
子供にするみたいに髪を撫で回される。
払おうと振り上げた右手はまた空を掻いて、逆に手首を取られた。
腕を引かれて前のめりに一歩出た瞬間に、耳元に寄せられた唇が囁く。
「君の探しているモノの身柄は僕達が預かっている」
上條が体勢を直して顔を上げると、目の前には悠然と微笑む顔があった。
「え。。。っ!?」
ゴクッと飲み込んだ唾が咽喉に詰まって、言葉が途切れる。
「でね、交換条件があるんだけど」
大きく腕を振って、まだ手首を掴んでいた式部の手を振り解いた。
「それ。。。脅迫、ですか?」
「あは!そ~かもね」
楽しそうな笑みはからかっているようでもあり、上條には何を要求されるのか想像も付かない。
「笑って、上條隊長」
はぁ?!
「笑顔、見せて」
本気なのか冗談なのか上條には全く読めなくて、頼りたくはなかったが横に視線を泳がすと、ついさっきまで傍に居たハズの御子柴が見当たらなかった。
「。。。総隊長は?」
「笑太君はカンケー無いよ。僕が上條隊長に笑って欲しいって云ってるの」
微妙に会話が咬み合っていない。。。
腰を軽く落として立って、上條の顔を正面から覗き込むように見てひたすらにこにこ笑っている式部の顔を睨みつける。
怒りのせいか、羞恥のせいか、鼓動が早くなって胸が苦しい。
「そんな顔ばかりしてると幸せが逃げちゃうよ」
再度髪に触れられそうになった時、上條の背後で動く気配がした。
勢いを付けて振り返った目の前に、真っ黒な猫が差し出される。
「オニキス!」
御子柴の手から上條の胸元に下ろされた猫が返事をするように、にゃあん、と短く啼いた。
「。。。どこで?」
「更衣室前の廊下のとこでうずくまってんのを清寿が拾ってきたんだ」
「だから僕達も丁度上條隊長を探してたんだよ」
昨日から元気が無いので仕事帰りに病院に連れていこうとゲージに入れて、目立たないようにロッカーの上に置いて任務に行って帰ってきたら居なくなっていて上條は慌てた。
職場に連れてきたと分かると黒瀬に小言を云われそうで、黙ってひとりで探していたところだった。
「見付かって良かった。。。」
前足を肩に掛けて擦り寄ってくる猫の背中を撫でながら、上條は安堵の息を吐いた。
「ね。笑太君」
「ああ、ホントだ」
はっ、と気付いて上條が顔を上げると、式部と御子柴が微笑んでいた。
「俺、お前のそんな表情(かお)、初めて見た」
「な。。。っ?!」
しまった!油断した。。。
「僕、上條隊長のそういう優しいとこ、好きだな」
焦る上條の腕の中で、黒猫が心地良さそうにごろごろ咽喉を鳴らした。
―End―
「。。。?」
微かな音に反応して目を遣ると、式部は優しく微笑んだ。
「あれ?君は。。。」
「よぉ、上條」
「お疲れさま~」
普段は朝と夕方、部長室に行く時にすれ違うくらいしか顔を合わせる事など無いのにこんな時に限って第一に出くわすなんて。。。ついてない。
上條は大きな溜め息をついた。
「お疲れ様です」
いつでも一番目と二番目に見たくない顔が、緊張感無く笑っている。
その横で静かにお辞儀をしている藤堂の苦労が忍ばれた。
「あれ?上條隊長、ひとりなの?」
式部が訊いてきたが、そんなのアンタ達にはこれっぽっちも関係無い。
だから答える義務も無い、とばかりに無視して口の中で小さく舌打ちしたその刹那、上條の額に何かが触れた。
「上條隊長っ、眉間にシワ寄ってるよ。はーい、伸ばして伸ばして~」
眉と眉の間のシワを伸ばそうとするように、式部の指が顔の上で小さな円を描く。
式部はいつの間にか手袋を外しており、その指先から体温が伝わってきて、こんな風に他人に触れられるのに慣れていない上條は動揺した。
「止めてくださいっ」
払い除けようとした手は空振って、一度離された指がまた髪に触れる。
「綺麗な顔なんだから」
コンプレックスの素である目を隠そうと長く伸ばしている前髪が、サラリと掻き上げられた。
「だから、止め。。。っ」
頭の上に置かれた式部の右手を煩わしく見上げた時、袖口からチラッと覗いたシャツに黒く変色しかけた血液の染みが付いているのに気付き、上條は途中まで持ち上げていた手を身体の横に下ろして静かに握った。
「?」
「腕に。。。血が」
ああ!と小さく呟いて、式部はコートの袖から中を覗き込んだ。
「これ?これは大したことないよ」
捲り上げたシャツの下にはまだ出来たばかりらしい生々しい傷跡が有った。
「弾が掠っただけだから」
赤く焼け爛れた皮膚の上を、長い指がすぅっと撫でる。
この程度の傷なんて見慣れている筈なのに何故か直視出来なくて、目を逸らす。
「!」
頭の上に手が乗って、上條は息を飲んだ。
式部のする事は予測不可能で、どうしても反応が遅れる。
「上條隊長は優しいんだね」
子供にするみたいに髪を撫で回される。
払おうと振り上げた右手はまた空を掻いて、逆に手首を取られた。
腕を引かれて前のめりに一歩出た瞬間に、耳元に寄せられた唇が囁く。
「君の探しているモノの身柄は僕達が預かっている」
上條が体勢を直して顔を上げると、目の前には悠然と微笑む顔があった。
「え。。。っ!?」
ゴクッと飲み込んだ唾が咽喉に詰まって、言葉が途切れる。
「でね、交換条件があるんだけど」
大きく腕を振って、まだ手首を掴んでいた式部の手を振り解いた。
「それ。。。脅迫、ですか?」
「あは!そ~かもね」
楽しそうな笑みはからかっているようでもあり、上條には何を要求されるのか想像も付かない。
「笑って、上條隊長」
はぁ?!
「笑顔、見せて」
本気なのか冗談なのか上條には全く読めなくて、頼りたくはなかったが横に視線を泳がすと、ついさっきまで傍に居たハズの御子柴が見当たらなかった。
「。。。総隊長は?」
「笑太君はカンケー無いよ。僕が上條隊長に笑って欲しいって云ってるの」
微妙に会話が咬み合っていない。。。
腰を軽く落として立って、上條の顔を正面から覗き込むように見てひたすらにこにこ笑っている式部の顔を睨みつける。
怒りのせいか、羞恥のせいか、鼓動が早くなって胸が苦しい。
「そんな顔ばかりしてると幸せが逃げちゃうよ」
再度髪に触れられそうになった時、上條の背後で動く気配がした。
勢いを付けて振り返った目の前に、真っ黒な猫が差し出される。
「オニキス!」
御子柴の手から上條の胸元に下ろされた猫が返事をするように、にゃあん、と短く啼いた。
「。。。どこで?」
「更衣室前の廊下のとこでうずくまってんのを清寿が拾ってきたんだ」
「だから僕達も丁度上條隊長を探してたんだよ」
昨日から元気が無いので仕事帰りに病院に連れていこうとゲージに入れて、目立たないようにロッカーの上に置いて任務に行って帰ってきたら居なくなっていて上條は慌てた。
職場に連れてきたと分かると黒瀬に小言を云われそうで、黙ってひとりで探していたところだった。
「見付かって良かった。。。」
前足を肩に掛けて擦り寄ってくる猫の背中を撫でながら、上條は安堵の息を吐いた。
「ね。笑太君」
「ああ、ホントだ」
はっ、と気付いて上條が顔を上げると、式部と御子柴が微笑んでいた。
「俺、お前のそんな表情(かお)、初めて見た」
「な。。。っ?!」
しまった!油断した。。。
「僕、上條隊長のそういう優しいとこ、好きだな」
焦る上條の腕の中で、黒猫が心地良さそうにごろごろ咽喉を鳴らした。
―End―
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COMMENT
激しく動揺
璃宮が可愛すぎじゃないですか!どうしてあんなに頑な何ですか!さすがです。璃宮に惚れ直すと共に清ちゃんを改めて好きになりました。お姉さまありがとございます
全くと云っていいほど。。
式部×上條ではなく、式部vs上條になってしまったという(汗
にゃんこを抱き上げる清寿、の描写が入れたかったのに失敗。。
でもツンツンりっくんが可愛く感じて頂けたなら成功です♪♪