HYPNOTIC DOLLS annex
企画・リク用別館。 DOLLS・同人・BLに興味の無い方はご遠慮ください。
優しさで溢れるように。。
- 2013/05/27 (Mon) |
- Novel-五十璃- |
- CM(0) |
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五十嵐×上條で。。
今更ながらの真冬の話(汗
更新する機会を逃しているうちに初夏になってしまいましたが、
雪の降る寒~い夜という設定で本当に申し訳なく。。。!
うわぁぁ季節外れ過ぎる(滝汗
5月23日「キスの日」のどさくさ紛れに(それにも間に合ってませんが)
璃宮にベタ惚れ五十嵐さんを。
文中に引用したのはサン=テグジュペリ『星の王子様』の一節です。
今更ながらの真冬の話(汗
更新する機会を逃しているうちに初夏になってしまいましたが、
雪の降る寒~い夜という設定で本当に申し訳なく。。。!
うわぁぁ季節外れ過ぎる(滝汗
5月23日「キスの日」のどさくさ紛れに(それにも間に合ってませんが)
璃宮にベタ惚れ五十嵐さんを。
文中に引用したのはサン=テグジュペリ『星の王子様』の一節です。
―Overflow with gentleness―
「掴めそう」
窓へ向かって伸ばされた手が大きく開かれて、ぎゅっと握られる。
「雪がか?」
シーツの上にぱたんと落ちてきたその手の中には、何も無いと知っていても。
「星の欠片みたいじゃない?」
無防備な笑顔で答えられると、窓の外を舞い落ちる細かい雪が砕けた星の輝きに変わる。
「。。。今、バカにしたでしょ」
「いいや、してないしてない」
慌てて精一杯の否定をしても、きらきらと光っていた瞳を怒ったように伏せて、布団の中へ潜ってしまった。
「璃宮、機嫌直せよ」
その布団ごと上から膨らみを抱くと、背中を丸めて腕の中にすぽりと嵌った。
「璃宮?」
見えている頭の天辺にくちづけて呼べば、背中に両腕が回されてくる。
寒い寒い夜の中、返事は無くても触れ合っている素肌の熱が心にまで伝わってくる。
「別に、怒ってなんかないし」
胸元にかかった吐息と擦り付けられた額が熱くて小さく笑うと、更に下へ潜ってしまった。
「待てっ!今のはおかしくて笑ったんじゃなくて。。。」
「いいよ、もう」
背中に爪がカリッと喰い込む。
「イテテッ!」
璃宮が連れてきた黒猫が、こちらの不穏な空気を察したのか顔を上げて短く鳴いた。
「・・・・・・」
その鳴き声に重なって璃宮がもそもそと何か云ったが聞き取れず、かと云って訊き返すと更にご機嫌を損ねそうで、優しく髪を撫でてみる。
雪はますます勢いを増して、窓枠に積もった白が黒い夜を仄かに照らす。
自分の鼓動と璃宮の呼吸と、時折猫の首に付いた鈴がチリチリと微かに鳴るだけで、世界は静けさの中に在る。
全てが今終わるのなら、我が人生も悪くなかったと思えるかもしれない。。。
「ねぇ、聞いてた?」
突然布団ごとガバッ!と頭を持ち上げられて、全然らしくないよと一刀両断されそうな感傷的な思考は中断。
前髪の生え際にも身体にも残るケロイド状の傷痕を両方の手で包むように撫でてから、ムッとしている顔を挟んで持つ。
「『心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。かんじんなことは、目に見えないんだよ』」
俺の呟きを聞くと、璃宮は眉の間に小さく皺を寄せた。
「え。。。何?」
それは全く予期していなかったことを云われたりされたりして驚いた時の表情(かお)。
指を伸ばしてその眉間に触れると嫌がる様子が無かったので、そのまま目や鼻の輪郭を確かめるように撫で下ろす。
「ちょっと思い出しただけだ。なんでもない」
片方の頬を掌で擦るとそちらの目が閉じて、じれったく感じるくらいゆっくりと開かれた。
「うん、そう言われれば星が欠片みたいだ」
「今更?もういいよ」
「地上に近付き過ぎて、砕けて、散ってきているみたいだな」
不機嫌そうに顰められた顔が、可愛くて、愛しくて。
外見だけなら王子と呼ばれても違和感がないのに、その少しひねくれている性格込みで惚れているから甘やかし過ぎてしまっている気がするが。
「雪は雪だよ、星じゃない。それに僕は僕で、五十嵐は五十嵐」
もそもそと喋っている璃宮の後頭部まで手を滑らせ、抱き寄せる。
「うん、それで?」
肩に寄り添ってきた温もりをいつか失う日が来るとしたら。
「僕もアンタも雪みたいに散ることは出来ても、星になんかなれない。こんな汚れ切った身体は地に落ちて朽ちるしかない」
きっぱりと云い放って俺を見つめる瞳の中に揺れる僅かな不安の影。
死と隣り合わせの生の歪みが、その美貌を際立たせるという皮肉。
「なら、いつどこで死んでも一緒にいられるからいいんじゃないか?星なら広い空の中で別々になるが、地面は全部続いている」
お互い分かっている。
共に散ることが無いことぐらい。
「お前を星なんかに返しやしない」
「はぁ?何云ってんの?!」
呆れたように声を上げた璃宮の口にくちづける。
「解らなくていいから。ほら、目ぇ閉じて」
唇を重ね合う璃宮の頭越しに見上げる空から降る雪は、まだ、まだ止みそうにない。
―End―
「掴めそう」
窓へ向かって伸ばされた手が大きく開かれて、ぎゅっと握られる。
「雪がか?」
シーツの上にぱたんと落ちてきたその手の中には、何も無いと知っていても。
「星の欠片みたいじゃない?」
無防備な笑顔で答えられると、窓の外を舞い落ちる細かい雪が砕けた星の輝きに変わる。
「。。。今、バカにしたでしょ」
「いいや、してないしてない」
慌てて精一杯の否定をしても、きらきらと光っていた瞳を怒ったように伏せて、布団の中へ潜ってしまった。
「璃宮、機嫌直せよ」
その布団ごと上から膨らみを抱くと、背中を丸めて腕の中にすぽりと嵌った。
「璃宮?」
見えている頭の天辺にくちづけて呼べば、背中に両腕が回されてくる。
寒い寒い夜の中、返事は無くても触れ合っている素肌の熱が心にまで伝わってくる。
「別に、怒ってなんかないし」
胸元にかかった吐息と擦り付けられた額が熱くて小さく笑うと、更に下へ潜ってしまった。
「待てっ!今のはおかしくて笑ったんじゃなくて。。。」
「いいよ、もう」
背中に爪がカリッと喰い込む。
「イテテッ!」
璃宮が連れてきた黒猫が、こちらの不穏な空気を察したのか顔を上げて短く鳴いた。
「・・・・・・」
その鳴き声に重なって璃宮がもそもそと何か云ったが聞き取れず、かと云って訊き返すと更にご機嫌を損ねそうで、優しく髪を撫でてみる。
雪はますます勢いを増して、窓枠に積もった白が黒い夜を仄かに照らす。
自分の鼓動と璃宮の呼吸と、時折猫の首に付いた鈴がチリチリと微かに鳴るだけで、世界は静けさの中に在る。
全てが今終わるのなら、我が人生も悪くなかったと思えるかもしれない。。。
「ねぇ、聞いてた?」
突然布団ごとガバッ!と頭を持ち上げられて、全然らしくないよと一刀両断されそうな感傷的な思考は中断。
前髪の生え際にも身体にも残るケロイド状の傷痕を両方の手で包むように撫でてから、ムッとしている顔を挟んで持つ。
「『心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。かんじんなことは、目に見えないんだよ』」
俺の呟きを聞くと、璃宮は眉の間に小さく皺を寄せた。
「え。。。何?」
それは全く予期していなかったことを云われたりされたりして驚いた時の表情(かお)。
指を伸ばしてその眉間に触れると嫌がる様子が無かったので、そのまま目や鼻の輪郭を確かめるように撫で下ろす。
「ちょっと思い出しただけだ。なんでもない」
片方の頬を掌で擦るとそちらの目が閉じて、じれったく感じるくらいゆっくりと開かれた。
「うん、そう言われれば星が欠片みたいだ」
「今更?もういいよ」
「地上に近付き過ぎて、砕けて、散ってきているみたいだな」
不機嫌そうに顰められた顔が、可愛くて、愛しくて。
外見だけなら王子と呼ばれても違和感がないのに、その少しひねくれている性格込みで惚れているから甘やかし過ぎてしまっている気がするが。
「雪は雪だよ、星じゃない。それに僕は僕で、五十嵐は五十嵐」
もそもそと喋っている璃宮の後頭部まで手を滑らせ、抱き寄せる。
「うん、それで?」
肩に寄り添ってきた温もりをいつか失う日が来るとしたら。
「僕もアンタも雪みたいに散ることは出来ても、星になんかなれない。こんな汚れ切った身体は地に落ちて朽ちるしかない」
きっぱりと云い放って俺を見つめる瞳の中に揺れる僅かな不安の影。
死と隣り合わせの生の歪みが、その美貌を際立たせるという皮肉。
「なら、いつどこで死んでも一緒にいられるからいいんじゃないか?星なら広い空の中で別々になるが、地面は全部続いている」
お互い分かっている。
共に散ることが無いことぐらい。
「お前を星なんかに返しやしない」
「はぁ?何云ってんの?!」
呆れたように声を上げた璃宮の口にくちづける。
「解らなくていいから。ほら、目ぇ閉じて」
唇を重ね合う璃宮の頭越しに見上げる空から降る雪は、まだ、まだ止みそうにない。
―End―
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