HYPNOTIC DOLLS annex
企画・リク用別館。 DOLLS・同人・BLに興味の無い方はご遠慮ください。
欲しいもの。
- 2009/09/06 (Sun) |
- Novel |
- CM(2) |
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お題『清寿が欲しいもの』
御子柴×式部。
原作(特にゼロサム10月号)ネタバレ。。バリバリです(笑
コミックス派の方は8巻が出るまで我慢!で。。すみません。。
―Doules Eventualis―
更衣室のドアが開いた。
背中を向けていても、誰が入って来たかすぐ分かった。
黙っていても、気配が他の誰とも違うから。
「はよ」
「おはよ~っ」
横に立った笑太君に、数日振りの朝の挨拶と笑顔を返す。
「何日も休んですまなかったな」
制服のベルトを留めながら、首を大きく横に振ってみせる。
ちらっとだけこちらを見た青い目が、僕にしか分からないように微笑んだ。
黙っているのも変かな。。。何て話し掛けよう?
任務やその日の出来事は毎晩メールして、お休みしていた間の事は全て報告済み。
笑太君からの返信はいつも短くて、お礼の言葉と必要事項が淡々と綴られているだけで、1回電話を貰ったけど何を話したかあまり覚えていない。
「羽沙希は?」
沈黙を破って、先に口を開いたのは笑太君の方だった。
「まだ来てないみたい。今日は寝坊したのかな?」
久しぶりに2人きりだ!そう気付いたら緊張してきた。
落ち着いて。。。まずは当たり障りの無い質問から。
「部屋、片付いた?」
シャツを脱いで剥き出しになった肩が、今回の引越しのキッカケになった例の事件の前に比べて痩せたような気がして、目を逸らす。
「ん~。まだまだだな」
ネクタイを締めながら苦笑いの笑太君。
「その様子だとあんまり片付かなかったみたいだね」
結び目に手を掛けて緩めながら、もう一度苦笑。
「引越しの片付けってひとつつまずくとメンドクサくならねぇ?」
「なるなるっ!それ分かる」
「だろぉ?」
明るい声に安心した。
けど、少し無理しているようにも感じる。
――手伝いに行ってあげようか?
そう云おうとした時笑太君の顔に、困ったような、少し悲しげな笑みが浮かんだのが見えた。
「2人で使ってた物はほとんど置いて来たから、今お前んちくらい物無いんだけどな」
ゴクリと唾を飲む。
一瞬の躊躇で云い損ねた言葉は、二度と口に出せなくなってしまった。
「そうだよね。。4年?だっけ?」
僕が入隊した時にはもう一緒に暮らしていた。
「ああ。今考えると結構長かった」
心臓が、ズキッ、とした。
もうこの話は止めたい。この先は聞きたくない。
これは嫉妬、だ。今の僕はきっと醜い顔してる。。。
表情を読まれないように、下を向いて腿の上のミニベルトを留める。
「なぁ、清寿」
コートを羽織って襟の記章を直しながら、笑太君が僕を呼んだ。
「なに?」
屈み込んで裾の方のミニベルトを留めながら返事をする。
「これ、」
頭を上げたら、胸の前に、ぽんっ、と何かが放られた。
咄嗟に差し出した両手で受け取った物は、小さくて冷たくて硬い感触。
手のひらを開いて見ると鍵がひとつ、鈍い光を放っていた。
「預かっといて」
ぽかんと見詰める僕に呆れたように笑って、手の上の鍵を人差し指で突付いてみせた。
「合鍵。今度の家、前んとこよりお前んちに近いんだ」
どんな表情をしたらいいのか分からなくて、
ぎゅっと強く握り締めた両手を唇に押し当てる。
「今度の非番の日、空いてねぇ?」
「あ、空いてるよ」
声が上擦った。
それに気付いただろうに、笑太君は普通に話し続ける。
「台所のもん買いに行きたいんだけど付き合って?」
料理は全くして無かったらしいから、全部置いてきちゃったんだね。
「あとさ、食材も買いに行かないと食う物何も無くてさ。いい?」
「うん、もちろん」
「で。ついでに飯作って」
「ははっ、了解」
「でさ、泊まってけばいい」
笑太君は腰のベルトを締め終えて、悪戯っぽく笑った。
「。。。片付けが終わるまで毎日食事作りに行ってあげようか?」
普通な感じに聞こえたかな?ちゃんと笑えてる。。かな?
「や。それはお前に迷惑掛けるから。。。」
「今日からでも!僕はいいよ」
「。。。あんま俺を甘やかすと、後が大変だぞ」
云い聞かせるように呟いて、優しい指がそっと僕の唇に触れた。
―End―
更衣室のドアが開いた。
背中を向けていても、誰が入って来たかすぐ分かった。
黙っていても、気配が他の誰とも違うから。
「はよ」
「おはよ~っ」
横に立った笑太君に、数日振りの朝の挨拶と笑顔を返す。
「何日も休んですまなかったな」
制服のベルトを留めながら、首を大きく横に振ってみせる。
ちらっとだけこちらを見た青い目が、僕にしか分からないように微笑んだ。
黙っているのも変かな。。。何て話し掛けよう?
任務やその日の出来事は毎晩メールして、お休みしていた間の事は全て報告済み。
笑太君からの返信はいつも短くて、お礼の言葉と必要事項が淡々と綴られているだけで、1回電話を貰ったけど何を話したかあまり覚えていない。
「羽沙希は?」
沈黙を破って、先に口を開いたのは笑太君の方だった。
「まだ来てないみたい。今日は寝坊したのかな?」
久しぶりに2人きりだ!そう気付いたら緊張してきた。
落ち着いて。。。まずは当たり障りの無い質問から。
「部屋、片付いた?」
シャツを脱いで剥き出しになった肩が、今回の引越しのキッカケになった例の事件の前に比べて痩せたような気がして、目を逸らす。
「ん~。まだまだだな」
ネクタイを締めながら苦笑いの笑太君。
「その様子だとあんまり片付かなかったみたいだね」
結び目に手を掛けて緩めながら、もう一度苦笑。
「引越しの片付けってひとつつまずくとメンドクサくならねぇ?」
「なるなるっ!それ分かる」
「だろぉ?」
明るい声に安心した。
けど、少し無理しているようにも感じる。
――手伝いに行ってあげようか?
そう云おうとした時笑太君の顔に、困ったような、少し悲しげな笑みが浮かんだのが見えた。
「2人で使ってた物はほとんど置いて来たから、今お前んちくらい物無いんだけどな」
ゴクリと唾を飲む。
一瞬の躊躇で云い損ねた言葉は、二度と口に出せなくなってしまった。
「そうだよね。。4年?だっけ?」
僕が入隊した時にはもう一緒に暮らしていた。
「ああ。今考えると結構長かった」
心臓が、ズキッ、とした。
もうこの話は止めたい。この先は聞きたくない。
これは嫉妬、だ。今の僕はきっと醜い顔してる。。。
表情を読まれないように、下を向いて腿の上のミニベルトを留める。
「なぁ、清寿」
コートを羽織って襟の記章を直しながら、笑太君が僕を呼んだ。
「なに?」
屈み込んで裾の方のミニベルトを留めながら返事をする。
「これ、」
頭を上げたら、胸の前に、ぽんっ、と何かが放られた。
咄嗟に差し出した両手で受け取った物は、小さくて冷たくて硬い感触。
手のひらを開いて見ると鍵がひとつ、鈍い光を放っていた。
「預かっといて」
ぽかんと見詰める僕に呆れたように笑って、手の上の鍵を人差し指で突付いてみせた。
「合鍵。今度の家、前んとこよりお前んちに近いんだ」
どんな表情をしたらいいのか分からなくて、
ぎゅっと強く握り締めた両手を唇に押し当てる。
「今度の非番の日、空いてねぇ?」
「あ、空いてるよ」
声が上擦った。
それに気付いただろうに、笑太君は普通に話し続ける。
「台所のもん買いに行きたいんだけど付き合って?」
料理は全くして無かったらしいから、全部置いてきちゃったんだね。
「あとさ、食材も買いに行かないと食う物何も無くてさ。いい?」
「うん、もちろん」
「で。ついでに飯作って」
「ははっ、了解」
「でさ、泊まってけばいい」
笑太君は腰のベルトを締め終えて、悪戯っぽく笑った。
「。。。片付けが終わるまで毎日食事作りに行ってあげようか?」
普通な感じに聞こえたかな?ちゃんと笑えてる。。かな?
「や。それはお前に迷惑掛けるから。。。」
「今日からでも!僕はいいよ」
「。。。あんま俺を甘やかすと、後が大変だぞ」
云い聞かせるように呟いて、優しい指がそっと僕の唇に触れた。
―End―
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COMMENT
読んじゃいました☆
コレは、コスで再現するしか無いですね☆
御子式語りしたいです!!!!!!!!笑太君の臑毛ハァハァ!
この後の展開。。
多分この後イイ感じになった所で。。
「すみませんっ!遅くなりました!!」とか云いながら羽沙希が更衣室に飛び込んで来るんじゃないかと←
そんなに甘くない展開しか考えられない乾の御子式でも許してもらえるでしょうか。。(汗
コスで再現した場合画像は検閲、もしくは証拠物件として押収しますよ?(笑