HYPNOTIC DOLLS annex
企画・リク用別館。 DOLLS・同人・BLに興味の無い方はご遠慮ください。
欲しいもの≒あげたいもの
- 2009/09/15 (Tue) |
- Novel |
- CM(2) |
- Edit |
- ▲Top
お題『清寿の欲しいもの』
三上×式部。
精一杯大人っぽく誘う清寿に柄にも無く翻弄される三上さん。。
多分この後行くのはイタリアン(笑
タイトルまんまの話。。です。
意味を知りたい方は調べてみてくださいね♪
三上×式部。
精一杯大人っぽく誘う清寿に柄にも無く翻弄される三上さん。。
多分この後行くのはイタリアン(笑
タイトルまんまの話。。です。
意味を知りたい方は調べてみてくださいね♪
―Tira-mi-su―
ガチャ。
車のドアを開けると、助手席に居た人影が動いた。
「特刑部長ともあろう人が。無用心」
「お前の為にわざと開けておいたんだよ」
吐息混じりに答えると、膝を抱えて座っていた式部の瞳が薄い闇の中で見開かれ、細くなった。
バタン。
ドアを閉めながら、当然のようにシートベルトを締め始めた式部の様子を観察する。
「どうせ鍵を閉めておいたって簡単に開けられるんだろう?」
「ははっ」
「お前がピッキング道具一式持ってて、セキュリティの固い隊員の住居に不法侵入出来る技術を持っていることぐらい報告が来てる」
「。。。監視(み)られてるって、怖いね」
背を丸めてうずくまるようにすると前髪で顔が影になり、無表情に結ばれた唇だけしか見えなくなった。
「で?どこへ行きたいんだ?」
数分待ったが答えが返ってきそうになかったので、キーを差し込む。
エンジンがかかる低い音。
その音に混じって聞こえた微かな吐息に横を向くと、式部の口元が動いた。
「貴方が僕を連れて行きたいと思う所に、連れて行って下さい」
こちらを見上げる顔は微笑んでいた。
少し、悲しげに。
「また御子柴と喧嘩でもしたか」
「喧嘩にもならない喧嘩、だったけどね」
それは恐らく任務中の出来事。
今朝、任務の説明を聞きに来た時は少なくとも普通だった。
だが夕方報告に来た時は、口をきく事も笑い合う事も無かった。
「しかしアレは。。。五十嵐も御子柴も怪しんでたぞ」
報告を終えて部長室を出ようとした時、式部は突然振り返って云った。
―― 三上部長。後でお時間ください。夜でもいいです。
多分あの場で状況が掴めていなかったのは、藤堂だけだ。
「怪しまれたっていいよ。やましいことをしなきゃいいだけだし」
紫色の瞳が挑発的に笑う。
「もしそんなことするとしたって、あの人達には関係無い」
走る密室の中、と云っても、らしくない発言。
乗り込んだ時点で盗聴マイクや盗撮カメラのチェックを済ませているのだろう。
しばらくの沈黙。
話し掛けられなければ、私から話すことはない。
視界の端で式部は、背もたれを倒したシートに身を預けてまるで眠っているかのように黙っている。
「ね、三上さん」
呼ばれて視線を遣ると、いつの間にか横を向いていた瞳と目が合った。
「なんだ?」
信号が赤になり、ブレーキを踏む。
赤い光が、式部の整った顔に陰影を作る。
「何人処刑(ころ)せば、僕は自由になれる?」
青く変わった光に照らされて蒼白に見える唇から、掠れた呟きが漏れた。
法で守られているとはいえ殺人を犯しているという事実に、精神(こころ)が耐え切れなくなってゆく。
毎年それで何名かの隊員が除隊、もしくは除名処分となる。
「こんなに殺して。。。もう天国には行けない身体になっちゃった」
天を仰ぐように上に伸ばした両腕を身体の横に、ぱたん、と落として、脱力した頭が肩に寄り掛かってきた。
浅く静かな息遣いを間近で聞きながら、掛ける言葉も無く黙り込む。
再び走り出した車の中を外の光が横切ると、その時だけ髪が青く光って見えた。
「ねぇ、三上さん。。。」
「ん?」
「僕を天国に連れていって」
上目遣いの微笑。
不本意ながら翻弄される。
「お前からキスしてくれたら考えてやる」
この状況だから口に出せた自分らしくない台詞も、返された満面の笑みで報われる。
頬に触れてきた指に答えて軽く横を向いた唇の上に、柔らかい感触。
子供が親に甘えるような仕草で肩先に擦り付けられた額。
「天国に行く前に食事、でいいな?」
顔も上げずに頷く姿に、愛しさを覚える。
そもそも天国には縁遠い身なのだから。。。
救うことは出来なくても、共に堕ちることくらい赦されるだろう。
―End―
ガチャ。
車のドアを開けると、助手席に居た人影が動いた。
「特刑部長ともあろう人が。無用心」
「お前の為にわざと開けておいたんだよ」
吐息混じりに答えると、膝を抱えて座っていた式部の瞳が薄い闇の中で見開かれ、細くなった。
バタン。
ドアを閉めながら、当然のようにシートベルトを締め始めた式部の様子を観察する。
「どうせ鍵を閉めておいたって簡単に開けられるんだろう?」
「ははっ」
「お前がピッキング道具一式持ってて、セキュリティの固い隊員の住居に不法侵入出来る技術を持っていることぐらい報告が来てる」
「。。。監視(み)られてるって、怖いね」
背を丸めてうずくまるようにすると前髪で顔が影になり、無表情に結ばれた唇だけしか見えなくなった。
「で?どこへ行きたいんだ?」
数分待ったが答えが返ってきそうになかったので、キーを差し込む。
エンジンがかかる低い音。
その音に混じって聞こえた微かな吐息に横を向くと、式部の口元が動いた。
「貴方が僕を連れて行きたいと思う所に、連れて行って下さい」
こちらを見上げる顔は微笑んでいた。
少し、悲しげに。
「また御子柴と喧嘩でもしたか」
「喧嘩にもならない喧嘩、だったけどね」
それは恐らく任務中の出来事。
今朝、任務の説明を聞きに来た時は少なくとも普通だった。
だが夕方報告に来た時は、口をきく事も笑い合う事も無かった。
「しかしアレは。。。五十嵐も御子柴も怪しんでたぞ」
報告を終えて部長室を出ようとした時、式部は突然振り返って云った。
―― 三上部長。後でお時間ください。夜でもいいです。
多分あの場で状況が掴めていなかったのは、藤堂だけだ。
「怪しまれたっていいよ。やましいことをしなきゃいいだけだし」
紫色の瞳が挑発的に笑う。
「もしそんなことするとしたって、あの人達には関係無い」
走る密室の中、と云っても、らしくない発言。
乗り込んだ時点で盗聴マイクや盗撮カメラのチェックを済ませているのだろう。
しばらくの沈黙。
話し掛けられなければ、私から話すことはない。
視界の端で式部は、背もたれを倒したシートに身を預けてまるで眠っているかのように黙っている。
「ね、三上さん」
呼ばれて視線を遣ると、いつの間にか横を向いていた瞳と目が合った。
「なんだ?」
信号が赤になり、ブレーキを踏む。
赤い光が、式部の整った顔に陰影を作る。
「何人処刑(ころ)せば、僕は自由になれる?」
青く変わった光に照らされて蒼白に見える唇から、掠れた呟きが漏れた。
法で守られているとはいえ殺人を犯しているという事実に、精神(こころ)が耐え切れなくなってゆく。
毎年それで何名かの隊員が除隊、もしくは除名処分となる。
「こんなに殺して。。。もう天国には行けない身体になっちゃった」
天を仰ぐように上に伸ばした両腕を身体の横に、ぱたん、と落として、脱力した頭が肩に寄り掛かってきた。
浅く静かな息遣いを間近で聞きながら、掛ける言葉も無く黙り込む。
再び走り出した車の中を外の光が横切ると、その時だけ髪が青く光って見えた。
「ねぇ、三上さん。。。」
「ん?」
「僕を天国に連れていって」
上目遣いの微笑。
不本意ながら翻弄される。
「お前からキスしてくれたら考えてやる」
この状況だから口に出せた自分らしくない台詞も、返された満面の笑みで報われる。
頬に触れてきた指に答えて軽く横を向いた唇の上に、柔らかい感触。
子供が親に甘えるような仕草で肩先に擦り付けられた額。
「天国に行く前に食事、でいいな?」
顔も上げずに頷く姿に、愛しさを覚える。
そもそも天国には縁遠い身なのだから。。。
救うことは出来なくても、共に堕ちることくらい赦されるだろう。
―End―
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COMMENT
惚れ直し…
背伸びしたいお年頃(笑
清寿から見たら三上さんってすご~く大人に見えるんじゃないかと。。
でも実は中身は若い頃とそんなに変わってなかったりしたりして。。
綺麗なコが目の前で精一杯背伸びしてたら三上さんじゃなくても萌えますよね、きっと。
思わずお持ち帰りしたくなるような清寿を書いてみたくて♪(笑
清寿の爪先立ちするような感情を、切ない、と感じ取っていただけた事に感謝します。