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HYPNOTIC DOLLS annex

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あげたいもの。その3の2。

お題『清寿にあげたいもの』

藤堂+柏原。

誕生日のお祝いは手作りのケーキがいい!と清寿に云われてしまった2人の話。。
の、つづき。
しかしなんと2話では終わらず(汗)番外編につづきます。。

―Do You Know How to Bake a Birthday Cake? vol.2―


「あっちは呑気にいちゃいちゃしてんのにさぁ~」
柏原は本日何十回目かの溜め息をついた。
目線を手元へ戻すと、茶色い頭が低い位置で蠢いていた。
「藤堂。。。それって」
調理台の上に置いた軽量カップの目盛りの高さに膝を屈めて目の高さを合わせ、慎重に牛乳の紙パックを傾ける。
多く入れ過ぎたようで、パックに少し戻す。
今度は戻し過ぎたようで、またカップに足す。
「そんなにしっかり量らなくてもいいんじゃないの??」
藤堂は先刻から数回その動作を繰り返している。
「久宝先輩も云っていましたし、貸して頂いた本にも“計量は正確に”と書いてありましたから」
「って云ってもさ、作るのは本にも載ってないようなカンタンなやつだろ?」
「それでもきちんと計量するのは必要だと思われます」
はぁぁ。。。
この融通が利かなくて扱いづらい新人と上手くやっている総隊長と副隊長を尊敬するよと心の中で愚痴って、柏原は大きな溜め息をついた。
「柏原班長」
呼ばれて視線を落とすときょとんと見詰める緑色の瞳と目が合った。
「そっちをよろしくお願いします」
藤堂の目線が指した先にはボウルがあって、中には卵が入っていた。
「これ。。。どうするんだっけ?」
柏原も基本的には食べるのが専門。
ジャンクフード大好きで、料理する時間があったら他の事がしたいタイプ。
「ええ~っと。。。卵を割って良く掻き混ぜて下さい」
テーブルに置いた、久宝の書いてくれたメモを見て藤堂が云う。
「ときたまごを作れってことか」
「ときたまご。。。?」
「あー。いい、いい。藤堂はそっちやってて」

ガチャン!

「あ!」
柏原の手が滑り、ボウルごと床に落ちた卵が割れ散った時、
「。。。あ」
藤堂の目が丸くなり、絶句した。
「ごめんごめん。まだ卵あったよな?」
ベタベタになった床を拭き取ってから顔を上げた柏原が見たのは、調理台の上に転がった計量カップとそこから流れ出した牛乳だった。
「あ~あ」
「すみません」
「や、俺のせいだなこれ」
調理台の上も拭きながら柏原は、ペーパータオルも買って行くといいかも、とメモの最後に書いてくれた久宝に感謝した。
「。。。卵、まだあります」
「牛乳もまだあるし。あ!今度は俺が牛乳量るから、藤堂は卵やって」
こくんと頷くと、藤堂は左手に持ったままだった牛乳パックを差し出した。
柏原は買出ししてきた物が入った袋を漁って卵を探し出して、牛乳を受け取って空いた手に渡した。
「待っててくれてますよね。。。」
しょんぼりと俯き加減で藤堂が云う。
「副隊長?」
こんな表情(かお)をするとまだ可愛げがあるじゃないか、と、柏原の口の端が緩む。
「楽しみにしてると思うよ」
心配性の副隊長のこと、この物音を聞いて内心戦々恐々だろうけどね、と云うのは飲み込んでおく。
「なぁ藤堂、焼いちゃえばなんとかなるって書いてあんだろ?」
メモの最後の方に書かれた文字を目で追って、藤堂が深く頷いた。
「クリームを塗ってしまえばそれっぽく見えると書いてあります」
どう見ても料理に縁が無さそうな藤堂と柏原の為に久宝が教えてくれたのは、ホットケーキミックスを買ってきて、薄めのホットケーキを何枚も焼いて重ねて、クリームや果物でデコレーションする、という超初心者レシピ。
「落ち込んでる余裕無し。焼くぞ!。。。ところでこの牛乳どうすんの?」
なんだかんだ云って、柏原はメモをほとんど見ていない。
「卵液と合わせて良く混ぜて」
「はい。次」
「粉を入れて」
柏原が袋から粉を勢い良くボウルにあけたので、埃みたいに立ち込めた粉で藤堂の眼鏡が曇った。
「はいー。それから?」
ぷっ、と、吹き出しそうになりながら、柏原が促す。
「え、えっと。。。ダマがなくなるまで良く掻き混ぜる」
真っ白になった眼鏡ギリギリにメモを近づけて、藤堂がマジメな声で答える。
「んで?あ、その前に。眼鏡拭いとけ」
柏原がペーパータオルの端で眼鏡のレンズを擦ってやると藤堂は、はにかんだような顔をして目だけで礼をした。
「フライパンを熱して油を薄くひいて」
ガス台に火を点けるのも慣れていない2人にとっては一苦労。
「油を薄くひくって。。。どうすんの?」
「。。。どうするんでしょうか?」
「ああもぅ、テキトーでもどうにかなるか!」
どうにか焼きあがった一枚目は、表面が見事に焦げていた。
「匂いだけは美味しそうですね」
さらりと云う藤堂を睨みつけて、柏原はその手にフライパンを手渡した。
「っんな風に云うんならお前やってみ」
戸惑う藤堂の表情が歳相応に見えて、柏原は目を細めた。
「なんかお前の方が上手くない?ムカつくなー」
火加減と引っくり返すタイミングを直ぐに掴んでしまった勘の良さも流石は養成所主席卒業、と云っていいのだろうか。
そんな事を考えつつ生クリームを泡立てていた柏原に、最後の一枚を焼き上げて藤堂がにっこりと微笑んだ。


―番外編につづく。

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『DOLLS』(naked ape原作)
二次創作サイト運営。
基本は御子柴×式部。
その他もあり。。かも?

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