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HYPNOTIC DOLLS annex

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あげたいもの。その3の1。

お題『清寿にあげたいもの』

藤堂+柏原。

3つ前の話の続き。。
誕生日のお祝いは手作りのケーキがいい!と清寿に云われてしまった2人の話。

長くなってしまったので2話に分けました。
つづきます。。

―Do You Know How to Bake a Birthday Cake? vol.1―


「粉をふるう。。。?」
ぼんやりと呟く藤堂の頭を、呆れ顔で柏原が撫で回す。
「さて、藤堂くん。何が分からないのかな~?」
髪がぐしゃぐしゃになっても一向に気にしない様子で、藤堂は目の前に広げていた本から目を離して柏原の方を見た。
「粉。。。」
「マジっ??そこからかよ?!」
大袈裟に嘆いてみせる柏原をきょとんと見詰めてから向かい合う席に座って苦笑している久宝に視線を戻し、藤堂は軽く首を傾げた。
「粉は小麦粉の事。薄力粉、って種類を使うの」
久宝が分かり易いように云い換える。
「ハクリキコ。。。?」
分かっていないのは明白だが、戸惑っているのか考えているのか、表情が乏しくて伝わりづらい。
「ふるう、はね、ここまでの材料を混ぜてふるいで振り混ぜることを云うのよ」
ケーキのレシピが書かれた本の材料の部分を指で丸く囲むように示しながら云う久宝の声も、やや呆れてきた。
「ね。。。本当にケーキ、作る気なんですか?」
口を“へ”の字にして大真面目な表情で頷く藤堂から、その後ろで悲壮なひきつり笑いを浮かべている柏原に視線を移しながら、久宝が探るように訊いてきた。
「式部隊長からのリクエストですから」
藤堂の答えに、柏原が両手で顔を覆う。
「じゃあ手伝いましょうか?」
「いえ。僕が作ってあげないと意味が無いんです」
久宝の言葉を、藤堂がやんわりと断る。
「お手伝いだけでもダメなの?」
藤堂の背後で柏原が首を振ってみせる。
「はい。ケーキ作りを手伝って貰っていいのは柏原班長だけなんです。折角のご好意、申し訳ありません」
「それも副隊長の指定なんだよ」
柏原が迷惑そうに、云い捨てる様に付け加えた。
「こういう本格的なのじゃなくて超チョ~初心者でも簡単に出来そうなのってなんか無い?」
そう云う柏原班長もケーキ作りなんかした事が無さそうに見えるんだけど、と、久宝が大きく息を吐いた。
「はぁ。。。あ。じゃあとってもカンタンなのを」
「作り方を教えて頂くのも手伝って貰ううちに入。。。」
藤堂の言葉を遮るように、頭を上から掴んで強制的にお辞儀をさせた柏原が藤堂の声音を真似て云った。
「どうぞよろしくお願いします」
そして自分も深々と頭を下げた。
「ところで副隊長は?」
久宝が周囲を見渡す。
午後も2時を過ぎて昼ごはんの時間も終り、法務省の職員専用食堂に人影は疎らだった。
「今年の誕生日には御子柴隊長が欲しい、とのことで、今日は有休を取って一緒に出掛けています」
藤堂の説明で、久宝の頬が微かに赤く染まる。
「まぁ。。。それで藤堂くん私服なんだ?」
「はい」
にっこり笑って答えた顔に、久宝の顔が紅潮した。
「あの~お2人さん?のんびりしてるのはいいんだけど、肝心のケーキ作っとかないと副隊長帰ってきちゃうよ?」
軽くイラつき気味に柏原が口を挟む。
「はい!ごめんなさい。ではまず材料から。。。」
柏原は自分の顎を撫でながら、久宝が書いてくれている
レシピを見て唸った。
「あー、これならイケるかな。。。」
「。。。?」
藤堂はきょとんとしているだけだ。
「OK!これで行こう。藤堂!まず買い出しに行くぞ」
その肩に腕を回してぽんぽん叩きながら、柏原は藤堂を立たせた。
「。。。あ、はい。お仕事中すみませんでした、久宝先輩」
「丁度待機時間中だったから大丈夫。頑張ってね」
藤堂の困った顔を見るなんて珍しくて、久宝は2人の姿が見えなくなるとくすくすと笑ってしまった。


「いらっしゃい」
式部の部屋に招き入れられた柏原は、テーブルの上を見て無言になった。
「これ。。。」
「今日海に連れてって貰ったから、色々買ってきたんだ」
魚介を使った凝った料理が並んでいた。
「で?」
式部がそう切り出すと、ベッドで寝ころんで新聞を読んでいた御子柴も顔を上げた。
「式部隊長。お願いがあります」
藤堂が口を開く。
「はい」
首を軽く傾げて式部が微笑みながら返す。
「これからケーキを作りますので、キッチンを貸して頂きたいのですが」
真面目な顔の藤堂と迷惑そうな顔の柏原を交互に見て、式部が眉を顰めた。
「あ、うん。それはいいけど。。。ホントに作る気?」
「はい。式部隊長からお願いされたことですから」
ぷっ!と式部の背後で小さく噴き出す声が聞こえた。
「一度引き受けたことですから、作ります」
御子柴を睨んでから溜め息をひとつついて、式部は2人をキッチンへ案内した。

「自分で墓穴掘ったな」
近くに居なくて大丈夫です、と、藤堂に云われて仕方なくベッドの所まで戻ってきて腰掛けた式部を御子柴がからかった。
「笑太君、うるさいよ」
腰に回されてきた腕を軽く払い除けながら冷たく云う。
「楽しみに待ってればいいじゃん」
御子柴が歯を見せて、にかっと笑う。
「。。。時々笑太君の性格が羨ましくなるよ」
つられて式部も笑う。
「そんな心配そうな顔してんなよ、藤堂だけならともかく柏原も居るんだしさ」
納得していないながらも頷いた頭を引き寄せて、ベッドに押し倒す。
「こらこらこらー!」
「ばっか。この状況でするかよ。落ち着いてろってだけだって」
顔を真っ赤にしたまま目を閉じて深呼吸をし始めた式部の唇に、御子柴はこっそりと唇を重ねた。


―つづく。

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自己紹介:
『DOLLS』(naked ape原作)
二次創作サイト運営。
基本は御子柴×式部。
その他もあり。。かも?

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