HYPNOTIC DOLLS annex
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職権は時と場合で ~五十嵐・上條の場合~
- 2011/09/10 (Sat) |
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お題10作目。その2。
五十嵐×上條。
諜報課課長で部長の右腕。。
ならば職権は行使出来るかと。
原作でも感情・表情豊かですし、
強がりや弱みを見せることもある。。
そんな五十嵐にきゅん♪な上條の話。
三上さんと五十嵐が仲が良い設定と、
三上×式部が前提になってます。
この二人の同じ題の話は2つ下に在り。
キャラの違いが表現出来ていたらいいな。
加えて、目一杯頑張りましたが。。
どうやらツンデレを書くのは苦手らしいです(汗
五十嵐×上條。
諜報課課長で部長の右腕。。
ならば職権は行使出来るかと。
原作でも感情・表情豊かですし、
強がりや弱みを見せることもある。。
そんな五十嵐にきゅん♪な上條の話。
三上さんと五十嵐が仲が良い設定と、
三上×式部が前提になってます。
この二人の同じ題の話は2つ下に在り。
キャラの違いが表現出来ていたらいいな。
加えて、目一杯頑張りましたが。。
どうやらツンデレを書くのは苦手らしいです(汗
――10.職権は時と場合で ~五十嵐・上條の場合~
「過保護過ぎるんだよっ、アンタは!」
左手で力任せに投げつけた枕が掠りもせずに躱されてドアに当たり、情けない音を立てて床に落ちる。
「上條、病院では静かに。。」
「五月蠅い!五月蠅い!!五月蠅い!!!」
耳を手のひらで塞いで叫び、顔を膝の間に伏せる。
「。。瑞城から聞いた」
声が震えないようにお腹に力を入れて、極力冷静に聞こえるように、ゆっくりと一言一言切るようにして続ける。
「今度の任務から僕を外すって決まったんでしょう?」
何か云い掛けた言葉を飲み込んで、息を飲む気配に耳を澄ませる。
ほんの少しの間がとても長くて息苦しくなってきた頃、答えが返ってきた。
「そうか。聞いているなら。。療養を優先するようにと、三上部長からの命令だ」
「そうするように進言したのは貴方だって聞いたけど?!」
死刑囚の仲間に不意打ちされて撃たれた右肩が、怒りで昂ってゆく拍動に同調して痛みを増してゆく。
肩に食い込んだ銃弾の破片を摘出する手術で使った麻酔の効果がそろそろ切れてくる頃だ。
「。。そうだ。その怪我では任務遂行の足手まといになると判断した」
確かにそれは事実だから仕方ないと頭で解っても感情が着いていかない。
第三部隊の隊長ともあろう者がこんな無様なことでいいのか!と、自分で自分を責めて行き場所が無くなった怒りが目頭を熱くする。
「解ってくれ、上條」
憐れむような五十嵐の声に腹が立った。
悔し涙なんて見せたくない。。
これ以上弱いところを貴方に見せたくないんだ。。!
左の肩に触れてきた手から逃げて、ベッドの反対側に身体を寄せる。
「俺はあの人ほど覚悟が出来ていないからこんな事しか出来なくて。すまんな、傷付けて」
あっさりと手を下した五十嵐の呟きに、目だけ膝の上から覗かせて表情を盗み見る。
「“あの人”?」
瞼を伏せたままいつまでも黙っているのに焦れて訊く。
「三上さんはな、今付き合っている相手から最初に。。三上さんより先に死んでしまったとしても絶対に泣かない、と約束させられたらしい」
今度は僕が息を飲み、昏い瞳でこちらを見据える五十嵐を見詰めた。
「その相手が自分の命令の下で常に死と背中合わせの任務をこなす身だとしても。。自分は所詮現場には出られない立場だから最悪の事態になっても立ち会えないし、そんな事が起きたら後処理で泣いているヒマも無いだろうからなって、呑みの席で笑いながら話せるんだ、あの人は」
そんな約束、僕には思い付きもしない。
僕達の方が先に逝く可能性が高いのは事実だけど残酷過ぎる。
それにそんな事をそんな風に云って欲しくない。
「逆に俺は現場に出れる。だからお前の最期を看取ることが出来るかもしれないし。。もし形として残っていればお前の亡骸を拾うことが出来るかもしれない。ただな、これは可能か不可能かという問題じゃなくて。。」
ただ聴いているのが辛くなって、喋り続ける五十嵐の話の腰を折る。
「泣いていいよ」
沈黙。
1m以上距離は離れているのにお互いの鼓動が聴こえるかと思う程の緊張感を、先に破る
「そんな時が来たら泣いてよ、ちゃんと。僕が好きだった自分の為にじゃなくて僕の為に泣いて」
「璃宮。。」
「その後は僕の事なんか完全に忘れて。思い出して泣いたりしなくていい」
伸ばされてきた指先も、頭を抱き取られ重ねられた唇も細かく震えていた。
「。。お前が弱みだなんて晒したくなかったんだけどな。。情けない」
左手で、煙草の臭いがする髪を撫でる。
「今回は大人しくしててあげるけど。貸しは貸しだからね」
「璃宮のそれ、怖いな」
顔を上げてにやりと笑った表情はいつも通り。
「怖いって云うなら公私混同の職権濫用は二度としないって約束して」
唇に改めて、マーキングするような強引なくちづけをされた。
「いつか覚悟が出来たら、な」
それいつの話?
。。とは訊かずに僕からくちづけ返したのは呆れたからだよ、本当に解ってる?
―End―
「過保護過ぎるんだよっ、アンタは!」
左手で力任せに投げつけた枕が掠りもせずに躱されてドアに当たり、情けない音を立てて床に落ちる。
「上條、病院では静かに。。」
「五月蠅い!五月蠅い!!五月蠅い!!!」
耳を手のひらで塞いで叫び、顔を膝の間に伏せる。
「。。瑞城から聞いた」
声が震えないようにお腹に力を入れて、極力冷静に聞こえるように、ゆっくりと一言一言切るようにして続ける。
「今度の任務から僕を外すって決まったんでしょう?」
何か云い掛けた言葉を飲み込んで、息を飲む気配に耳を澄ませる。
ほんの少しの間がとても長くて息苦しくなってきた頃、答えが返ってきた。
「そうか。聞いているなら。。療養を優先するようにと、三上部長からの命令だ」
「そうするように進言したのは貴方だって聞いたけど?!」
死刑囚の仲間に不意打ちされて撃たれた右肩が、怒りで昂ってゆく拍動に同調して痛みを増してゆく。
肩に食い込んだ銃弾の破片を摘出する手術で使った麻酔の効果がそろそろ切れてくる頃だ。
「。。そうだ。その怪我では任務遂行の足手まといになると判断した」
確かにそれは事実だから仕方ないと頭で解っても感情が着いていかない。
第三部隊の隊長ともあろう者がこんな無様なことでいいのか!と、自分で自分を責めて行き場所が無くなった怒りが目頭を熱くする。
「解ってくれ、上條」
憐れむような五十嵐の声に腹が立った。
悔し涙なんて見せたくない。。
これ以上弱いところを貴方に見せたくないんだ。。!
左の肩に触れてきた手から逃げて、ベッドの反対側に身体を寄せる。
「俺はあの人ほど覚悟が出来ていないからこんな事しか出来なくて。すまんな、傷付けて」
あっさりと手を下した五十嵐の呟きに、目だけ膝の上から覗かせて表情を盗み見る。
「“あの人”?」
瞼を伏せたままいつまでも黙っているのに焦れて訊く。
「三上さんはな、今付き合っている相手から最初に。。三上さんより先に死んでしまったとしても絶対に泣かない、と約束させられたらしい」
今度は僕が息を飲み、昏い瞳でこちらを見据える五十嵐を見詰めた。
「その相手が自分の命令の下で常に死と背中合わせの任務をこなす身だとしても。。自分は所詮現場には出られない立場だから最悪の事態になっても立ち会えないし、そんな事が起きたら後処理で泣いているヒマも無いだろうからなって、呑みの席で笑いながら話せるんだ、あの人は」
そんな約束、僕には思い付きもしない。
僕達の方が先に逝く可能性が高いのは事実だけど残酷過ぎる。
それにそんな事をそんな風に云って欲しくない。
「逆に俺は現場に出れる。だからお前の最期を看取ることが出来るかもしれないし。。もし形として残っていればお前の亡骸を拾うことが出来るかもしれない。ただな、これは可能か不可能かという問題じゃなくて。。」
ただ聴いているのが辛くなって、喋り続ける五十嵐の話の腰を折る。
「泣いていいよ」
沈黙。
1m以上距離は離れているのにお互いの鼓動が聴こえるかと思う程の緊張感を、先に破る
「そんな時が来たら泣いてよ、ちゃんと。僕が好きだった自分の為にじゃなくて僕の為に泣いて」
「璃宮。。」
「その後は僕の事なんか完全に忘れて。思い出して泣いたりしなくていい」
伸ばされてきた指先も、頭を抱き取られ重ねられた唇も細かく震えていた。
「。。お前が弱みだなんて晒したくなかったんだけどな。。情けない」
左手で、煙草の臭いがする髪を撫でる。
「今回は大人しくしててあげるけど。貸しは貸しだからね」
「璃宮のそれ、怖いな」
顔を上げてにやりと笑った表情はいつも通り。
「怖いって云うなら公私混同の職権濫用は二度としないって約束して」
唇に改めて、マーキングするような強引なくちづけをされた。
「いつか覚悟が出来たら、な」
それいつの話?
。。とは訊かずに僕からくちづけ返したのは呆れたからだよ、本当に解ってる?
―End―
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