HYPNOTIC DOLLS annex
企画・リク用別館。 DOLLS・同人・BLに興味の無い方はご遠慮ください。
胸の中の小さな台風。。
- 2011/09/04 (Sun) |
- Novel-三上式- |
- CM(0) |
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久しぶりにお題から離れて。。
三上×式部。
ギリギリR指定なし。
台風のニュースを聞きながら眠ったら
突然降りてきた話。
もうすぐ清寿の誕生日なのでそれも絡めて。
松任谷由実『TYPHOON』のイメージで。
かなり古い楽曲ですが色っぽい歌詞と
気怠い曲調と歌い方が好き。。
そうそう。
大人の恋は切ないのです←
追記;9/4 21:00 一部修正しました(汗
三上×式部。
ギリギリR指定なし。
台風のニュースを聞きながら眠ったら
突然降りてきた話。
もうすぐ清寿の誕生日なのでそれも絡めて。
松任谷由実『TYPHOON』のイメージで。
かなり古い楽曲ですが色っぽい歌詞と
気怠い曲調と歌い方が好き。。
そうそう。
大人の恋は切ないのです←
追記;9/4 21:00 一部修正しました(汗
―TYPHOON―
――そんなことを云うと台風が来ますよ。
冗談のつもりが本当になって、台風による暴風雨という天気。
そういう季節だからと云われればそうだけどこのタイミングは笑えない。
そもそも数週間も前に云った言葉を後悔する事自体意味が無いと貴方は笑い飛ばすだろう。
ソファでごろごろしていたら、上からふわりとタオルケットが掛けられた。
「そんな恰好で。。ベッドで横になっていればいいのに」
三上さんの匂いが残る愛用のタオルケットに、顔まですっぽりとくるまる。
「なんだか落ち着かなくて」
目だけ出して答えて、呆れた顔を見て頭を引っ込める。
「伊達に1人暮らしが長かった訳ではないからこのくらいは大丈夫だ、心配しなくてもいい。出来たらベッドルームへ持って行くから」
そんな風に優しく微笑まれたら仕方なく、上半身を起こす。
「ここに居ちゃだめ?」
「そこでは身体が休まらない」
「。。あっちの部屋に居たら尊人さんが見えないから。。」
三上さんは目を細めて困ったように笑ってから唇にくちづけをくれて、何も云わずにキッチンへ戻って行った。
その後ろ姿へ、声を掛ける。
「尊人さん」
「。。うん?」
「今日も明日もお休みって、本当ですか?」
ともすると忘れがちだけど僕達は公務員で、毎週土日は公休日。
そうは云っても仕事の内容がああだから曜日も時間も関係無しに呼び出されることがあってあまり実感が無い。
もちろん同じく土日は休んでも良い筈の三上さんもいつも出勤していて、休みを取っているのを見たことが無い。
取れるあても無い有給休暇が溜ってゆく。。
なのに!
今日から2連休を取ると云われた時冗談かと思って「そんなことを云うと台風が来ますよ」と咄嗟に云ってしまった。
付き合い始めてから今まで、丸々2日間。。しかも前の晩からお泊りしているから約2日半も、お互い呼び出しされることなく無くずっと一緒に過ごせたことなんて1度も無いのだから、期待と不安で挙動不審になる。
「不満か?」
予想もしていなかった質問に、首を横に振り過ぎて目が回った。
「誕生日も近いから今日はドライブして朝から外食しようと思っていたのにこの天気では外に出るのは無理だな。。お前の云う通り、慣れないことはしない方がいい」
誕生日と、台風が来ると云ったことを覚えられていて顔が熱くなった。
「そのお詫びに朝食を作ってやろうと思ったのだがそのせいで台風の進路まで曲げてしまったかもしれないしな」
点きっ放しになっているTVのニュースでは、大型で風の強い今回の台風が朝方になって進路を変え東都を直撃するコースを取ったという状況を刻々と伝えている。
風が巻く音と雨が礫のように当たる音が次第に強くなってくるのを聞きながら、窓際のソファの上でタオルケットに全身を包んだまま膝を抱えて自分を護るように小さく、小さくなった。
「怖いのか?意外だな」
目の前で声がして慌てて顔を挙げると不意打ちのように唇が重ねられた。
膝の間に割って入ってきた腰に手を回して小さな声で、もっと、と、ねだる。
角度を変えて何度もくちづけてもらっている間に、コーヒーの良い香りが漂ってきた。
「台風は怖くない。けど。。」
バスローブを着た広い背中を抱き締めて。
激しい風と雨に閉ざされて。
ずっとこのままで居られたらいいと願う自分が怖くなる。
「もう怖がらなくていい。傍に居るから」
耳元で囁いてくれたその言葉が嬉しくて怖いなんて、どう説明したらいい?
何も云えずにぎゅうっと抱き付いていたらタオルケットごと抱き上げられて、驚いてしがみついたらダイニングまで運ばれて、すとん、と、椅子に下ろされた。
「簡単なものばかりで清寿が作る朝食には敵わないが、どうぞ」
コーヒーメーカーのサーバーからカップにコーヒーを注ぎながら云う三上さんは多分特刑の他の誰にも見せたことがないような優しい笑顔で、また言葉を失った。
目の前の穏やかな光景より、窓の外の台風が僕の心をざわつかせる。
どこにも行きたくない、三上さんを独り占めしたいからゆっくり通り過ぎてと無意識のうちに祈っていたのに気付いて切なくなる。
「ねぇ、尊人さん」
タオルケットの端からもぞもぞと両手を出しトーストを皿から取り上げて、目の前で新聞を読みながらコーヒーを啜っている三上さんに話し掛ける。
―― 台風よりも、こうして貴方と過ごした後で1人の夜に戻る時が怖い。
「あ。。何でもない、ごめんなさい。朝ごはんいただきます」
―End―
――そんなことを云うと台風が来ますよ。
冗談のつもりが本当になって、台風による暴風雨という天気。
そういう季節だからと云われればそうだけどこのタイミングは笑えない。
そもそも数週間も前に云った言葉を後悔する事自体意味が無いと貴方は笑い飛ばすだろう。
ソファでごろごろしていたら、上からふわりとタオルケットが掛けられた。
「そんな恰好で。。ベッドで横になっていればいいのに」
三上さんの匂いが残る愛用のタオルケットに、顔まですっぽりとくるまる。
「なんだか落ち着かなくて」
目だけ出して答えて、呆れた顔を見て頭を引っ込める。
「伊達に1人暮らしが長かった訳ではないからこのくらいは大丈夫だ、心配しなくてもいい。出来たらベッドルームへ持って行くから」
そんな風に優しく微笑まれたら仕方なく、上半身を起こす。
「ここに居ちゃだめ?」
「そこでは身体が休まらない」
「。。あっちの部屋に居たら尊人さんが見えないから。。」
三上さんは目を細めて困ったように笑ってから唇にくちづけをくれて、何も云わずにキッチンへ戻って行った。
その後ろ姿へ、声を掛ける。
「尊人さん」
「。。うん?」
「今日も明日もお休みって、本当ですか?」
ともすると忘れがちだけど僕達は公務員で、毎週土日は公休日。
そうは云っても仕事の内容がああだから曜日も時間も関係無しに呼び出されることがあってあまり実感が無い。
もちろん同じく土日は休んでも良い筈の三上さんもいつも出勤していて、休みを取っているのを見たことが無い。
取れるあても無い有給休暇が溜ってゆく。。
なのに!
今日から2連休を取ると云われた時冗談かと思って「そんなことを云うと台風が来ますよ」と咄嗟に云ってしまった。
付き合い始めてから今まで、丸々2日間。。しかも前の晩からお泊りしているから約2日半も、お互い呼び出しされることなく無くずっと一緒に過ごせたことなんて1度も無いのだから、期待と不安で挙動不審になる。
「不満か?」
予想もしていなかった質問に、首を横に振り過ぎて目が回った。
「誕生日も近いから今日はドライブして朝から外食しようと思っていたのにこの天気では外に出るのは無理だな。。お前の云う通り、慣れないことはしない方がいい」
誕生日と、台風が来ると云ったことを覚えられていて顔が熱くなった。
「そのお詫びに朝食を作ってやろうと思ったのだがそのせいで台風の進路まで曲げてしまったかもしれないしな」
点きっ放しになっているTVのニュースでは、大型で風の強い今回の台風が朝方になって進路を変え東都を直撃するコースを取ったという状況を刻々と伝えている。
風が巻く音と雨が礫のように当たる音が次第に強くなってくるのを聞きながら、窓際のソファの上でタオルケットに全身を包んだまま膝を抱えて自分を護るように小さく、小さくなった。
「怖いのか?意外だな」
目の前で声がして慌てて顔を挙げると不意打ちのように唇が重ねられた。
膝の間に割って入ってきた腰に手を回して小さな声で、もっと、と、ねだる。
角度を変えて何度もくちづけてもらっている間に、コーヒーの良い香りが漂ってきた。
「台風は怖くない。けど。。」
バスローブを着た広い背中を抱き締めて。
激しい風と雨に閉ざされて。
ずっとこのままで居られたらいいと願う自分が怖くなる。
「もう怖がらなくていい。傍に居るから」
耳元で囁いてくれたその言葉が嬉しくて怖いなんて、どう説明したらいい?
何も云えずにぎゅうっと抱き付いていたらタオルケットごと抱き上げられて、驚いてしがみついたらダイニングまで運ばれて、すとん、と、椅子に下ろされた。
「簡単なものばかりで清寿が作る朝食には敵わないが、どうぞ」
コーヒーメーカーのサーバーからカップにコーヒーを注ぎながら云う三上さんは多分特刑の他の誰にも見せたことがないような優しい笑顔で、また言葉を失った。
目の前の穏やかな光景より、窓の外の台風が僕の心をざわつかせる。
どこにも行きたくない、三上さんを独り占めしたいからゆっくり通り過ぎてと無意識のうちに祈っていたのに気付いて切なくなる。
「ねぇ、尊人さん」
タオルケットの端からもぞもぞと両手を出しトーストを皿から取り上げて、目の前で新聞を読みながらコーヒーを啜っている三上さんに話し掛ける。
―― 台風よりも、こうして貴方と過ごした後で1人の夜に戻る時が怖い。
「あ。。何でもない、ごめんなさい。朝ごはんいただきます」
―End―
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