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HYPNOTIC DOLLS annex

企画・リク用別館。 DOLLS・同人・BLに興味の無い方はご遠慮ください。

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ベッド&拘束帯Ver.2。。

6つ目のお題の話の別ver.
五十嵐×上條。R指定なし。

自主ボツ原稿を修正したもの。
長かったからボツにしただけなので。。
って云っても長いままですが(汗
話の舞台は特刑の取り調べ用の部屋、
もしくは一時留置しておく為の部屋。
璃宮の子供の頃捏造設定は同じです。

暗示を解く鍵はただひとつ。
それを持つ者もただひとり。。

Kalafina『oblivious』のイメージで。
歌詞の雰囲気をお借りしました。




―6.ベッド&拘束帯ver.2 ~oblivious~


「監視カメラ切っとけよ、マイクもだ」


一条の光が見えた。
そしてそれは瞬きをしている間に消えた。

硬い床を踏む革靴の音が、ゆっくりと近付いてくる。
耳に意識を集中すると自分の吐く息の音の方が大きく聴こえた。
真の闇の中にいるようなのに僕に向かって真っ直ぐに進んでくる足音には迷いが無い。
身体を起こそうとして、両手が拘束されていることに初めて気付く。
反動で背中が固いベッドに叩きつけられて、歯を食い縛って痛みに耐える。
片方づつ手を持ち上げ、手首に食い込む堅い布の感触を確認して。
ベッドに横たえられて両手を縛られているという、俄かに信じ難い状況であることだけは把握した。
どうして?とか、何故?とか、いつから?誰に?とか。
考えようとしても頭の芯が白く濁ったようにぼんやりとしている。
そういえば全身が痺れていて感覚が鈍く、上手く動かせない。
だから拘束されていることも分からなかったのか。

「上條」

いつの間にか足音は止んでいて、頭上から声が降ってきた。

「上條璃宮?」

答える気など無かったのに頷いていた。

「目を開けてみろ」

真っ暗だと思ったのは目を閉じていたからだとそう云われて知った。
しかし瞼さえも自分の自由にならないことに動揺する。
その時、何の前触れも無く突然頬に触れられて、身体を硬くした。

怖い。。っ!

反射的に蹴り上げた足が目標を捉えることが出来ずに空を切って落ちた。

「ははっ!大したもんだな。その状態でそこまで動けるとは」

ぶわんぶわんと撓んで聞こえる、機械を使って変調させているような声。
でもこの声、どこかで聞いたことがある気がする。。
頬を撫でられるとその指の感触が封じていた記憶とリンクして、右目の奥が鋭く疼いた。
目の前で母を殺されて多数の人を傷付け保護された直後の僕は夜毎に悪夢を見ては奇声を上げ、自分も他人も見境なく傷付けようとした。
夢を見ることを怖がって眠ろうとしない僕はクスリで意識を奪われて、翌朝目を覚ますと必ずベッド柵に両手を拘束されていた。
悔しくて泣いていると誰かが頬を撫でてくれて、それでもっと悲しくなって涙が止まらなくなり自暴自棄になるという悪循環の日々。
特刑の養成所に入れられるまでそれはずっと続いた。

「こちらの質問に答えろ。他の事は云わない方が身の為だ」

怖くなんかない。。怖くなんか。。

「手を、離せ。僕に触る。。な」

辛うじて相手に聞こえるくらいの声をノドから絞り出す。
それを云った途端激しい頭痛がして吐きそうになった。

「だから云ったろ?問いにだけ答えろ、いいな?」

深呼吸をしようと開いた口を唇で塞がれて頭の芯まで真っ白に痺れた。

「愛してるよ璃宮。お前はどうだ?」

耳元で囁かれた言葉に驚いて、目を見開く。
今度は抵抗なく瞼を開くことが出来た。

「五十嵐。。?」

もう一度くちづけされてから頭を抱かれた。

「薬(ヤク)打たれて暗示になんか掛けられてるんじゃねぇよ。第三の隊長にマジで狙われたら俺も三上部長も対抗する術が無い。現にお前を拘束するまでに怪我人続出だ。後で始末書出せよ」

断片的にしか事態が掴めず詳細を訊こうとしたが、咽喉が異常に渇いていて声が出なかった。
口をパクパクさせている僕の様子を見て、手首の拘束帯を外してくれながら五十嵐は苦笑した。

「ところで先刻の返事は?」

。。返事?

「もう一回云わせんのかぁ?」

頭を持たれ耳の傍で繰り返された言葉を聞いて、この状況でよくそんな事を。。と思ったが、安心したようなその笑みを見ていたら気が抜けて涙が出そうになった。

「そんなのいちいち云わないといけないの!?」
「こういう時じゃないと訊けないし、答えてくれないだろ?」

頬に触れてきた煙草臭い指先がここに在ることに安堵する。

「あ、」
「あ?」
「。。な、なんでもないっ!」

熱を放つ程に高潮した顔を横に背けると、五十嵐は乾いた笑い声を立てた。

「クスリが効いてるうちに云わせとくんだったな。失敗した!」

ベッドから起き上がる力が入らなくて横になったまま、下から睨み付ける。

「強力な解毒剤を使ってるから副作用でしばらく動けないらしいぞ。大人しくしてろ」

よいしょ!という掛け声と共に抱き上げられる時どさくさ紛れにこっそりと唇へキスしたらほんの一瞬だけ嬉しそうな表情(かお)をして見せてから、真面目な時の諜報課課長の顔に戻ってドアへと向かって歩き出した。


―End―

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『DOLLS』(naked ape原作)
二次創作サイト運営。
基本は御子柴×式部。
その他もあり。。かも?

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