HYPNOTIC DOLLS annex

『中華』な三上式。。つづきです。

激甘(汗
そしてＲ指定にしようか悩んだという作品(滝汗
とりあえずＲ１５くらいで←？

うさこ様こんな感じでご勘弁をっっ。。

―宝貝好 vol.2―


「ふふっ」

堪えようとしても顔が笑ってしまう。

「。。。嬉しそうだな」

そう云う三上さんは表情を殺しているつもりだろうけれど、声が、面白くないって云ってる。

パキｯ。

手のひらと同じくらいの大きさの海老が盛られた皿の端っこに、剥いた殻を置いてゆく。

「はい。どうぞ」

綺麗な赤い身は三上さんの前のお皿の上に。
ぷりぷりと弾力のある手触りで、殻を剥いているだけで美味しいって分かる。

「こっちへばかりじゃなく。。。お前も食べたらいい」

大皿の横に積みあがった殻と自分の取り皿の上に置かれた数尾分の海老の身を見てから、
僕の顔を見た。

「先に全部剥いちゃおうかなって。途中で手を洗うの面倒臭くて」

へへっ、と、笑いながら返す。

「全然食べてないじゃないか」
「だってこれ剥けば終りだもん。他の料理をいっぱい食べてるから大丈夫！」

最後の一尾を指で挟んで持ち上げて見せる。

「面倒なモノを頼んでしまったな。。。」

こんな申し訳無さそうな表情(かお)なんて職場では絶対に見れないから貴重過ぎて、
ついガン見してしまう。

「でも僕も海老好きだし。この海老大きくてすっごく美味しそうだけど？」

僕の視線に気付いて俯くようにして一口海老を頬張った三上さんに、
微笑みながら尋ねる。

「旨いよ」

咀嚼する口元から咽喉が色っぽく見えるなんて、
食事をする前にお酒を結構呑まされたから、酔いが回ってきたかな？

パキッ。

海老を食べるのは大好きなのに殻を剥くのが苦手って。。。
何事も器用にこなす人だと思っていたから、意外だった。

「指。。。綺麗だな」

先刻から僕の指先ばかり目で追ってるって、気が付いてた。

「商売道具だから。ちゃんとお手入れもしてるよ。
夜寝る前にハンドクリームを塗ったりするだけだけど」

キレイに殻が剥けて、つやつやした身が現れた。

「この指を傷めちゃったら僕の存在価値も無くなっちゃうから。
生命(いのち)の次くらいに大事にしてる」

次の言葉を探すように黙ってしまった口元へ、
ちょんちょん、と、先端にタレを付けた海老を突き出す。

「はい。あーん」

一瞬、面食らった表情(かお)をしてから、薄く笑った。

「まるで子供扱いだな」

がぶっ、と、歯並びの良い白い歯が、僕の差し出していた海老に噛みつく。
はにかんだように笑う顔が、濡れた唇が。。。愛しい。

その唇を独占したい。
三上さんが欲しい。僕を三上さんだけのものにして欲しい。
おかしいよ。普通じゃない。こんな時にこんなに強く欲情するなんて。
紹興酒って悪酔いするんだ。きっと。。。絶対。

ぼーっとしている僕の手首を掴んで自分の方へ引き寄せると
まだ少し残っていた海老を食べ切ってから。。。
三上さんは一縷の躊躇いも見せずに僕の指を頬張った。

「。。。え？！」

右手から左手へ。
湿った温かい舌の感触が指を１本１本丁寧に舐ってゆく度に、胸の鼓動が速くなる。

「ね。。。三上さん。美味しい？」

あなたも僕のことを欲しがってくれていると、思ってもいいの。。。？

「多分。食べてみないと分からないがな」

両腕を首に回して抱き付いて、
背中を抱き寄せられて膝の上に乗ってしまったのにも気付かないくらい、
深く深く、くちづけを交し合った。


―了。

２人が食べているのは“白灼蝦”という料理。
香港名物です。