HYPNOTIC DOLLS annex
企画・リク用別館。 DOLLS・同人・BLに興味の無い方はご遠慮ください。
Web of night。。
- 2010/11/21 (Sun) |
- Novel-御子式- |
- CM(0) |
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- ▲Top
御子柴→式部。
三上×式部前提で、
数話前からの続き。
心に傷を持つ三人三様の恋愛。
複雑に絡み合う関係を捏造中(笑
TOPのタイトルは曲名から、
作品の題名は宝石(鉱石)名から、
各々の話のイメージで付けています。
三上×式部前提で、
数話前からの続き。
心に傷を持つ三人三様の恋愛。
複雑に絡み合う関係を捏造中(笑
TOPのタイトルは曲名から、
作品の題名は宝石(鉱石)名から、
各々の話のイメージで付けています。
―bronze―
「任務完了。処理班と救護班を至急!清寿が頭を打ったらしく意識が無い」
インカムマイクに叫んで一方的に通信を切る。
血の気のない唇は蝋の様にツヤが無く、指で歯列を開かせ口から息を吹き込んで、僅かに上下し始めた胸元の動きを確認する。
自爆した死刑囚と共に崩れた建物の、重なる瓦礫の中から引き摺りだした割りに外傷は無いのには安心した。
胸元を緩めてやろうとネクタイを取り、シャツのボタンを外したところで手が止まった。
肌理の細かい肌に散らされた血の色の花弁。。
一目でキスマークだと分かるその痕は、襟を広げて覗いただけでも胸部から腹部、腕にかけて沢山残されていた。
「三上さん、いくらなんでもこれはやり過ぎだろ。。」
胸の奥で微かに生じた灼けつく様な感情を、頭を強く振って打ち消す。
そしてシャツの前を合わせて、第一ボタンまでしっかりと嵌め直した。
処理班と救護班が到着すると同時に駆け付けてきた柏原に血と埃で汚れた手袋を預け、医務室に運ばれる清寿に付添うから、と伝える。
救護班や医務室の者達に今の身体を見られるのは、プライドが高い清寿には耐え難い事だろうと思う。
現にハロウィンの日の翌日から一週間、清寿は俺からの誘いを理由も云わずに拒み続けていた。
それまで一度も拒否された事など無かったから、本当に好きな人と上手くいっているなら仕方ないと割り切って、なのに落ち込んでいるようにも見える理由を尋ねられずにいた。
「そんなに大切なら離さなきゃいいのに」
納得いかなさそうな表情(かお)をした柏原は俺の顔を一瞥して云い捨てるように呟くと、くるりと踵を返して現場の後始末の陣頭指揮を取り始めた。
「。。そんな簡単じゃねぇんだよ」
その後ろ姿を見て憮然としていた俺は促されるように、清寿の乗せられた担架と一緒に車に乗った。
「笑太~居るか~?」
その声と同時に医務室のベッドを囲むカーテンが開かれた。
「本日の任務完了報告終わってないのは第一だけだ。三上部長が早く来いってさ」
「わざわざ呼びに来たのかよ。。」
半分だけ振り返って、眉を顰めてイヤミっぽく返す。
「そんなにヒマじゃね~よ。最近中で吸うとウルサイから屋上行って一服してきたついでだ」
煙草の臭いをぷんぷんさせた五十嵐が、にやりと笑った。
「眠り姫はまだ目覚めそうにないのか?」
伸び上がって俺の頭越しにベッドを覗き込んで訊いてきた。
「キスしてやれば起きるんじゃないのか?」
「なんだそれ?意味分かんねぇ」
からかうような口調が気に入らなくて横目で睨み付けると、五十嵐は肩を竦めて困ったような笑顔を見せた。
「もしそうだとしても清寿が待ってんのは俺のキスじゃねぇし」
ベッドの横に置かれた丸イスから立ち上がり、五十嵐の方も見もせずにその横を擦り抜けようと一歩踏み出した、その時。
「何もしないで諦めるのか?」
その一撃で、呼吸(いき)も鼓動も止まった。
「可能性が少しでも有るとしたら、俺なら諦めないがな」
一抹の違和感を覚えて、ゆっくりと振り返ると五十嵐は真面目な顔をして俺の方を見ていた。
「可能性が限りなくゼロに近くても想いが実るって信じさせてくれよ」
そう云うと照れたように破顔した。
今まで見せたことのない柔らかな笑みが浮かべた顔を、返す言葉も無く凝視してしまった。
「それ、誰の話?もしかしてアンタも。。?」
その問いかけに返事は無かった。
「イガグリ。。横向いてろ」
「あぁ?」
「こっち見てんなよ!」
五十嵐がベッドの有る方に背中を向けたのを見届けてから、意識の戻らない清寿の冷たい唇に、心の中で燻る熱を分け与えるようにくちづける。
「ぅ。。ん」
小さな唸り声と共に布団の外に出ていた手の指先が微かに動いて、手を握ると強く握り返してきた。
―End―
「任務完了。処理班と救護班を至急!清寿が頭を打ったらしく意識が無い」
インカムマイクに叫んで一方的に通信を切る。
血の気のない唇は蝋の様にツヤが無く、指で歯列を開かせ口から息を吹き込んで、僅かに上下し始めた胸元の動きを確認する。
自爆した死刑囚と共に崩れた建物の、重なる瓦礫の中から引き摺りだした割りに外傷は無いのには安心した。
胸元を緩めてやろうとネクタイを取り、シャツのボタンを外したところで手が止まった。
肌理の細かい肌に散らされた血の色の花弁。。
一目でキスマークだと分かるその痕は、襟を広げて覗いただけでも胸部から腹部、腕にかけて沢山残されていた。
「三上さん、いくらなんでもこれはやり過ぎだろ。。」
胸の奥で微かに生じた灼けつく様な感情を、頭を強く振って打ち消す。
そしてシャツの前を合わせて、第一ボタンまでしっかりと嵌め直した。
処理班と救護班が到着すると同時に駆け付けてきた柏原に血と埃で汚れた手袋を預け、医務室に運ばれる清寿に付添うから、と伝える。
救護班や医務室の者達に今の身体を見られるのは、プライドが高い清寿には耐え難い事だろうと思う。
現にハロウィンの日の翌日から一週間、清寿は俺からの誘いを理由も云わずに拒み続けていた。
それまで一度も拒否された事など無かったから、本当に好きな人と上手くいっているなら仕方ないと割り切って、なのに落ち込んでいるようにも見える理由を尋ねられずにいた。
「そんなに大切なら離さなきゃいいのに」
納得いかなさそうな表情(かお)をした柏原は俺の顔を一瞥して云い捨てるように呟くと、くるりと踵を返して現場の後始末の陣頭指揮を取り始めた。
「。。そんな簡単じゃねぇんだよ」
その後ろ姿を見て憮然としていた俺は促されるように、清寿の乗せられた担架と一緒に車に乗った。
「笑太~居るか~?」
その声と同時に医務室のベッドを囲むカーテンが開かれた。
「本日の任務完了報告終わってないのは第一だけだ。三上部長が早く来いってさ」
「わざわざ呼びに来たのかよ。。」
半分だけ振り返って、眉を顰めてイヤミっぽく返す。
「そんなにヒマじゃね~よ。最近中で吸うとウルサイから屋上行って一服してきたついでだ」
煙草の臭いをぷんぷんさせた五十嵐が、にやりと笑った。
「眠り姫はまだ目覚めそうにないのか?」
伸び上がって俺の頭越しにベッドを覗き込んで訊いてきた。
「キスしてやれば起きるんじゃないのか?」
「なんだそれ?意味分かんねぇ」
からかうような口調が気に入らなくて横目で睨み付けると、五十嵐は肩を竦めて困ったような笑顔を見せた。
「もしそうだとしても清寿が待ってんのは俺のキスじゃねぇし」
ベッドの横に置かれた丸イスから立ち上がり、五十嵐の方も見もせずにその横を擦り抜けようと一歩踏み出した、その時。
「何もしないで諦めるのか?」
その一撃で、呼吸(いき)も鼓動も止まった。
「可能性が少しでも有るとしたら、俺なら諦めないがな」
一抹の違和感を覚えて、ゆっくりと振り返ると五十嵐は真面目な顔をして俺の方を見ていた。
「可能性が限りなくゼロに近くても想いが実るって信じさせてくれよ」
そう云うと照れたように破顔した。
今まで見せたことのない柔らかな笑みが浮かべた顔を、返す言葉も無く凝視してしまった。
「それ、誰の話?もしかしてアンタも。。?」
その問いかけに返事は無かった。
「イガグリ。。横向いてろ」
「あぁ?」
「こっち見てんなよ!」
五十嵐がベッドの有る方に背中を向けたのを見届けてから、意識の戻らない清寿の冷たい唇に、心の中で燻る熱を分け与えるようにくちづける。
「ぅ。。ん」
小さな唸り声と共に布団の外に出ていた手の指先が微かに動いて、手を握ると強く握り返してきた。
―End―
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