HYPNOTIC DOLLS annex
企画・リク用別館。 DOLLS・同人・BLに興味の無い方はご遠慮ください。
透明な願いの中に堕ちて。。
- 2011/01/30 (Sun) |
- Novel-御子式- |
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御子柴×式部。
一足早くバレンタインデーの話。
設定としては前夜か前々夜くらい。
久しぶりの御子式はBitter。
三上式前提で、御子柴は片思い。
刹那的で切なく、苦くてほんのり甘い?
嵐の『truth』のイメージで。。
笑太にも清寿にも悲恋が似合うと思うのです。
一足早くバレンタインデーの話。
設定としては前夜か前々夜くらい。
久しぶりの御子式はBitter。
三上式前提で、御子柴は片思い。
刹那的で切なく、苦くてほんのり甘い?
嵐の『truth』のイメージで。。
笑太にも清寿にも悲恋が似合うと思うのです。
―truth―
「清寿!」
ぱちん、と携帯を閉じた直後に声を掛けられて驚くのと同時に振り返った。
そこには先刻更衣室で別れたばかりの笑太君が立っていて、僕に向かって片手を上げた。
「今夜ひとり?」
屈託の無い笑顔と質問に、くすっ、と笑ってしまう。
意味は分かるけれどもう少し訊き方ってものがあるよね。
「僕はいつもひとりだよ」
口元まで隠すようにぐるぐると巻いたマフラーを人差し指でちょっとだけ下げて、微笑みながら至極当たり前の事の様にそう答える。
「そっ。。か」
眉を顰めて飲み込んでくれた言葉の分だけ、ほんの少し僕は傷付く。
無言で歩き出すと肩を並べるようにして君も歩き始めた。
「これから飯でも食いに行かねぇ?」
目を細め微かに笑みを浮かべた口元に広がる白い息を見詰める。
「ん~。。でも早くうちに帰ってのんびりしたい、かな」
僕が吐き出した白い息が、昏い夜の空に消えた。
「確かに。今日は疲れたな」
そう云って黙ってしまった君の顔をちゃんと見ることが出来ないのは。。
君の存在が怖いから。
「ごめん」
「じゃあ途中まで一緒に。。」
「。。うん」
笑太君は少し上を向き、僕は軽く下を見て。
会話も無くただ並んで歩いているうちに、身体の横に下げていた手にこつん、こつん、と、手の甲が当たってきた。
お互い手袋をしているので無意識にかと思ったら、離れても引いても触れてくるので、故意に、みたいだ。
どちらからともなく手を繋いだら手のひらに、ぎゅっ、と、力が籠った。
「なぁ。。なんで俺じゃダメ?」
前を向いたまま独り言みたいに呟いた君の、横顔を見てから顔と瞼を伏せて首を左右に力無く振る。
いつも傍に居て。
同じように命を賭して任務をこなしていて。
強くて格好良くて、優しくて脆くて目が離せない。
そんな君に惹かれた時期もあったけど。。
「三上さんに合わせようと背伸びしているお前を見てるとツラい。だから。。」
君の心の中にはいつも他の誰かが居て。
「笑太君の事はずっと、今でも好きだよ」
意外と、冷静に云えた。
「でも僕は笑太君の一番大切な人にはなれないんでしょう?」
繋いでいた手を離した次の瞬間に腕を掴んで引き寄せた君の方が、僕よりも驚いた表情(かお)をしていた。
「誰かを好きになるのも好きになられるのも怖い。けどひとりで居るのは嫌なんだって気付かせてくれたのは笑太君で。。それをちょっと恨んでる」
真っ直ぐに見詰めてくる青い瞳が、ふたりの吐く白い息で霞んで。
何か云いたげに何度か口元が開き、閉じた。
僕は肩で息をしながら呼吸を落ち着かせようと集中して、目頭に力を入れて泣くまいと。。
頑張って。。
「ははっ。。すまないこんな事して。。なんかカッコわりぃな、俺」
腕から離れてゆく手を咄嗟に掴んだら君は、先刻よりももっと驚いた表情(かお)で僕を見た。
「ごはん、食べに来て。何か作るから。うちで」
返事が無いのは当たり前か。
「チョコもあるんだ!バレンタインの。昨日作って、渡そうって。。」
君の一番になれたらどんなに楽だろう。
つい寄り掛かってしまいそうになるから、君の存在が怖い。
「我慢出来なくなるかもしれなくても?」
自分の云っている事が分かっているのか?と。
笑太君の云いたいことも、戸惑いも、ちゃんと解ってる。
「眠れるなら、それでもいい」
笑みを返して、視線を足元に落とす。
「。。バカだな、お前は」
「笑太君ほど賢くないもん。そんなの知ってるでしょ?」
「変な風に気を回して」
「うん」
「他人(ひと)のことばっか心配して」
「。。うん。。」
頭に手を回されて、ふわりと胸元に抱き取られた。
「俺に無い、清寿のそういうとこが好きなんだ」
嬉しい?それとも、悲しい?
自分の感情が分からないまま抱き締められて、求められるのに応えて唇を重ねた。
―End―
「清寿!」
ぱちん、と携帯を閉じた直後に声を掛けられて驚くのと同時に振り返った。
そこには先刻更衣室で別れたばかりの笑太君が立っていて、僕に向かって片手を上げた。
「今夜ひとり?」
屈託の無い笑顔と質問に、くすっ、と笑ってしまう。
意味は分かるけれどもう少し訊き方ってものがあるよね。
「僕はいつもひとりだよ」
口元まで隠すようにぐるぐると巻いたマフラーを人差し指でちょっとだけ下げて、微笑みながら至極当たり前の事の様にそう答える。
「そっ。。か」
眉を顰めて飲み込んでくれた言葉の分だけ、ほんの少し僕は傷付く。
無言で歩き出すと肩を並べるようにして君も歩き始めた。
「これから飯でも食いに行かねぇ?」
目を細め微かに笑みを浮かべた口元に広がる白い息を見詰める。
「ん~。。でも早くうちに帰ってのんびりしたい、かな」
僕が吐き出した白い息が、昏い夜の空に消えた。
「確かに。今日は疲れたな」
そう云って黙ってしまった君の顔をちゃんと見ることが出来ないのは。。
君の存在が怖いから。
「ごめん」
「じゃあ途中まで一緒に。。」
「。。うん」
笑太君は少し上を向き、僕は軽く下を見て。
会話も無くただ並んで歩いているうちに、身体の横に下げていた手にこつん、こつん、と、手の甲が当たってきた。
お互い手袋をしているので無意識にかと思ったら、離れても引いても触れてくるので、故意に、みたいだ。
どちらからともなく手を繋いだら手のひらに、ぎゅっ、と、力が籠った。
「なぁ。。なんで俺じゃダメ?」
前を向いたまま独り言みたいに呟いた君の、横顔を見てから顔と瞼を伏せて首を左右に力無く振る。
いつも傍に居て。
同じように命を賭して任務をこなしていて。
強くて格好良くて、優しくて脆くて目が離せない。
そんな君に惹かれた時期もあったけど。。
「三上さんに合わせようと背伸びしているお前を見てるとツラい。だから。。」
君の心の中にはいつも他の誰かが居て。
「笑太君の事はずっと、今でも好きだよ」
意外と、冷静に云えた。
「でも僕は笑太君の一番大切な人にはなれないんでしょう?」
繋いでいた手を離した次の瞬間に腕を掴んで引き寄せた君の方が、僕よりも驚いた表情(かお)をしていた。
「誰かを好きになるのも好きになられるのも怖い。けどひとりで居るのは嫌なんだって気付かせてくれたのは笑太君で。。それをちょっと恨んでる」
真っ直ぐに見詰めてくる青い瞳が、ふたりの吐く白い息で霞んで。
何か云いたげに何度か口元が開き、閉じた。
僕は肩で息をしながら呼吸を落ち着かせようと集中して、目頭に力を入れて泣くまいと。。
頑張って。。
「ははっ。。すまないこんな事して。。なんかカッコわりぃな、俺」
腕から離れてゆく手を咄嗟に掴んだら君は、先刻よりももっと驚いた表情(かお)で僕を見た。
「ごはん、食べに来て。何か作るから。うちで」
返事が無いのは当たり前か。
「チョコもあるんだ!バレンタインの。昨日作って、渡そうって。。」
君の一番になれたらどんなに楽だろう。
つい寄り掛かってしまいそうになるから、君の存在が怖い。
「我慢出来なくなるかもしれなくても?」
自分の云っている事が分かっているのか?と。
笑太君の云いたいことも、戸惑いも、ちゃんと解ってる。
「眠れるなら、それでもいい」
笑みを返して、視線を足元に落とす。
「。。バカだな、お前は」
「笑太君ほど賢くないもん。そんなの知ってるでしょ?」
「変な風に気を回して」
「うん」
「他人(ひと)のことばっか心配して」
「。。うん。。」
頭に手を回されて、ふわりと胸元に抱き取られた。
「俺に無い、清寿のそういうとこが好きなんだ」
嬉しい?それとも、悲しい?
自分の感情が分からないまま抱き締められて、求められるのに応えて唇を重ねた。
―End―
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