HYPNOTIC DOLLS annex
企画・リク用別館。 DOLLS・同人・BLに興味の無い方はご遠慮ください。
淡くとける雪のように。。
- 2010/12/07 (Tue) |
- Novel-五十璃- |
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五十嵐×上條。
前の2話からの続き。
五十嵐視点の翌朝の話。
処刑部隊隊員だけではなく、
特刑関係者は皆暗い過去を持っていそう。。
五十嵐さんだって三上さんだって。
そちらは本編で語られそうにないので捏造。
性格は明るそうで熱いけれど冷静。
この五十嵐さんはそんな設定。
淡々としすぎてしまったかも。。(汗
前の2話からの続き。
五十嵐視点の翌朝の話。
処刑部隊隊員だけではなく、
特刑関係者は皆暗い過去を持っていそう。。
五十嵐さんだって三上さんだって。
そちらは本編で語られそうにないので捏造。
性格は明るそうで熱いけれど冷静。
この五十嵐さんはそんな設定。
淡々としすぎてしまったかも。。(汗
―Cloudy Snow―
酷い夢を見た。
呼吸(いき)が出来ず咽喉を掻き毟って目を覚ました。
誰かが横に居ると悪い夢を見る。。
そんなジンクスが有ったことを忘れるくらい、ここ数年他人と共に夜を過ごした事など無かったと思い出して苦く笑った。
そして背中を丸めて眠っている上條を起こさないようにそっとベッドから抜け出し、風呂場へ向かう。
素肌を流れ落ちるシャワーの雫が明け方まで見ていた悪夢の残滓まで洗い流してくれそうな気がした。
濡れた身体を拭きながらコーヒーを淹れ始めたら、開けたままにしていた寝室のドアの向こうで盛り上がった毛布がごそりと動いた。
「おはよう」
2つのカップに注ぎ分けたコーヒーにたっぷりのミルクと砂糖。
テーブルの上に運んでその片方に口を付ける。
「イタタ。。」
返事の代わりに低い唸り声だけがして、金色の頭がもそもそと毛布に潜り込んだ。
破顔して、ベッドの横を過ぎて部屋の奥まで行き窓のブラインドを上げる。
「おー真っ白だ。。」
昨夜は一晩中不安定な天候で、霙になったり雨になったり。
氷の粒や水の粒が窓ガラスを叩く音が止んだのは、何回目かの行為を終えて初めて上條からくちづけを強請られた頃だった。
「これは少し早く出ないとダメだな」
無意識に口に出した言葉を聞いて、毛布の上に緑と青の瞳が覗いた。
「。。起きれない」
そちらへ視線を遣ると目を引っ込めてしまい、頭の天辺だけが見えた。
「起きなくていい。お前は今日非番だ」
処刑部隊隊員の、特に上位の隊員達のスケジュールは把握している。
だから、こうなるとまでは予測していなかったが、翌日が非番の日を選んで呑みに誘った。
自分の分のコーヒーを飲み干し、咥え煙草で身支度を整え、ポストから取ってきた新聞をバッグに押し込んだ。
その様子をちらちら見ていたが起き上がる気配の無い上條の枕元へ、キーケースから外したカギを投げる。
「それ返せよ。1つしか無いんだから」
「合鍵は。。?」
「そんな物騒なもん持ってない」
シーツの上にぬっと出てきた手が、頭の近くに落ちた鍵におそるおそるという感じで触れた。
「。。自分以外は信じていないって事?」
「ん、まぁ。。諜報課員の性(さが)だな」
疑う事と好奇心。これが無ければやっていられない。
その裏返しで、年数を経る毎他人を信じられなくなってくる。
―― じゃあ僕は?
目が隠れて見えないから表情が読めない。
けれど少し捲れ上がった毛布の端から見える赤い唇が薄く開いていて、声にならなかった問いの答えを待っている様に見えた。
「家の中の物は自由に使ってくれ。ずっと寝ていようが風呂に何時間入ろうが勝手だ。監視カメラなんて無粋なもんは付いてないから安心しろ」
ベッドに歩み寄り顔の上の毛布だけ除けて。
ひとりにしてすまんな、と、耳朶に唇を寄せて囁き、そっと頭を撫でる。
「バッカみたい!たった一晩くらいで僕が貴方の事好きになると思ったの?」
ならばそんな泣きそうな顔をしなければいい。
ただそれを云うとムキになるのが分かっているので、微笑みで誤魔化す。
「自覚出来るまで幾晩でも一緒に過ごしてやるから」
「はぁ?!頭オカシイんじゃないのそん。。っ!」
唇を触れ合わせるだけのくちづけをしながら、力が抜けた手のひらを上に向かせてカギを握らせた。
「留守番よろしく。出来るだけ帰ってくるようにする」
悔しそうな顔をして毛布を被ってしまった上條にドアの所から声を掛け、外に出るとまだ雪が静かに降り続いていた。
―End―
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