HYPNOTIC DOLLS annex
企画・リク用別館。 DOLLS・同人・BLに興味の無い方はご遠慮ください。
TRICK or 。。
- 2010/11/04 (Thu) |
- Novel-三上式- |
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三上×式部。
ですが御子柴も加わり三角関係。
R指定はございません←
ハロウィンを題材にした連作の3作目。
3人の関係に変化の兆しが。。
各々の感情の揺らぎが描けているでしょうか?
ちょっと長いです。
ですが御子柴も加わり三角関係。
R指定はございません←
ハロウィンを題材にした連作の3作目。
3人の関係に変化の兆しが。。
各々の感情の揺らぎが描けているでしょうか?
ちょっと長いです。
―sapphire―
ガタン、と音を立てて、御子柴が席を立った。
式部が顔を上げて、その顔を仰ぎ見る。
「笑太君?帰っちゃうの?」
隣の席からの腕を掴んで訊いてきた式部へ向かって視線を落とすと、御子柴は淡く微笑んだ。
「呑むもん呑んだし、食うもん食ったし。後は寝るだけ!ご馳走さま」
三上の方を向いて素っ気なく云うと、頭だけ軽く下げて会釈をした。
目礼でそれに応えてから、三上も笑みを浮かべた。
「じゃ、お先」
袖を握っていた手を離して自分の膝の上に重ねて置き、式部は一度目を伏せてから開き、もう一度引き留めるような視線を御子柴へ向けた。
何か云おうと口を開けた瞬間に視界が真っ暗になって。
式部の唇に柔らかくて温かいモノが触れて、離れた。
「おやすみ。清寿」
そう優しく告げる声を呆然と聞き、頭をぽんぽんっと撫でられて正気に戻った時には御子柴の後ろ姿は個室席のドアの向こうに消えていた。
「。。若さ、かな?羨ましいことで」
時々見せる無邪気な笑顔を浮かべてそう呟くと、三上はグラスに残っていた赤ワインを飲み干した。
「今日は朝から色んなサプライズを仕掛けられたが、今のが一番驚いたな」
空いたグラスを目の高さに掲げてから視線だけ式部の方へ遣って、緩やかな曲線を描くガラスの側面にくちづける真似をした。
それを見て御子柴に何をされたかやっと分かってきた式部が、顔を真っ赤に染めて三上が居るのとは逆の方へ目を逸らした。
「じゃあここに来た時のあの驚き方は演技だったんだ?」
そんな言葉が返ってくると思ってもいなかった三上は、そうすると式部が余計機嫌を悪くするかもしれないと考えるヒマもなく、口元を押さえて吹き出していた。
「あれはあれで結構驚いてた。本当に」
唇を尖らせて、式部は三上を凝視していた。
仕事ではなかなか見せない綻びを見付け出そうとするかような真摯な瞳に、三上は余裕の笑みを返す。
「とうとう最後通牒を渡されるのかな。。と思ってね」
戸惑ったように視線が揺れた隙に、ボトルからグラスへ手酌でワインを注ぐ。
「最後通牒。。?」
「1人だと思って来たら違っていて、改まって“僕には笑太君が居るから”と云い始めた時は本当に、もう2人では会えないという話かなと思った」
非難めいた言葉とは裏腹に、穏やかな声が云う。
「相手が御子柴なら譲るしかないか、とかな」
三上は言葉を切って間を置くと、テーブルの上を指先で弾いた。
コツ、コツ、と爪が当たって立つ硬質な音に、式部は背中を縮こませた。
「歳を取るとヒガミっぽくなると覚えておいた方がいい」
咄嗟に首を横に振ることで何を否定しようとしたのか式部にも分からなかったけれども、ただひとつ、自分の仕掛けた悪戯が三上の機嫌を損ねていたという事だけは分かった。
俯いて、膝の上に置いた両手を握り締める。
するとテーブルを叩く音が止んで、式部が視線を前方へ戻すと三上はさらりと云った。
「驚いたか?」
その一言で、謝罪しようと吸い込んだ式部の息が止まった。
「ハロウィンのサプライズにしては重かったかな?」」
声を殺し肩を震わせて笑い出した三上を、今度こそ本当に泣き出しそうな表情(かお)で息を詰めたままじっと見つめた。
「どこからウソ?。。どこまでがホント?」
動揺を隠せず強張った表情の式部の質問に、三上は悠然と答えた。
「これで最後かと思ったのは本当で、譲るというのは嘘」
眼鏡越しでも見透かすような強い視線から逃れる様に式部は瞼を閉じ、呼吸を整えようとした時。
唇が重ねられこじ開けられると、噎せるような芳香が流れ込んできて、咽喉に落ちていった。
「みか。。っ」
「黙って」
決して怒ってはいないようだったが云われた通りに黙って、求められるのに懸命に応えた。
唇が離されると、式部は上がった息を落ち着かせようと何回も深呼吸をした。
その様子を横目で見ながら、三上は何事も無かったような顔でワインを一口飲んで皮肉っぽく笑った。
「悪戯が成功した事へのご褒美。と、御子柴の宣戦布告に対する回答」
口移しで飲まされたワインのせいか、安心して気が抜けたからか、今まで何ともなかったのに酔いが急速に回ってきて視界をブレさせた。
「こんな短時間に二度も同じ手に引っ掛るとは注意力に欠けている。。」
動き続ける三上の唇に伸び上がるようにしてくちづけて黙らせると式部は柔らかく微笑んで、ゆっくりとその胸の中に落ちて行った。
―End―
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