HYPNOTIC DOLLS annex
企画・リク用別館。 DOLLS・同人・BLに興味の無い方はご遠慮ください。
Joyeux Noël !
- 2011/12/26 (Mon) |
- Novel-三上式- |
- CM(0) |
- Edit |
- ▲Top
三上×式部。
静かに雪が降り始めた
クリスマスイブの話。
一時の激情や劣情ではなく、
滲み入るような恋慕。。
そんなイメージで。
精一杯背伸びしている清寿と
大人であろうと努力している三上さん。
そんな話。。のつもりです(汗
静かに雪が降り始めた
クリスマスイブの話。
一時の激情や劣情ではなく、
滲み入るような恋慕。。
そんなイメージで。
精一杯背伸びしている清寿と
大人であろうと努力している三上さん。
そんな話。。のつもりです(汗
―Tombe la neige―
「。。雪」
ふと見上げた天窓に、ふわりとした白いものが積もり始めていた。
水の入ったグラスに付けた口を離して小さく呟くと、手を止めて尊人さんも同じ天窓を見て淡々と云った。
「とうとう降ってきたか」
昼間天気が良かったから雪が降るという天気予報は外れたと思って安心していたのに、降り出す時間がずれただけだったようだ。
「車を置いていけばワイン呑めますよ?」
予約時間ギリギリまで仕事に追われて車を置いてくるヒマもなく来てくれたから、料理もお酒も美味しいと評判のフレンチレストランで食事をしているのにワインを頼めない。メインの鶏肉料理でさえ好物の赤ワイン煮を避けてポワレを選んだくらいで、料理ならアルコールなんて飛んでいると思いますと勧めても、呑みたくなるから止めておこう、とストイックな微笑みを返された。
「置いて帰る訳にはいかないな」
それもそうか。。
特刑最高責任者の車だからこそ誰でも入れる駐車場になんて放置しておいたらどんな危険な細工をされるか分からないし、盗難の危険性もある。
「なら僕が代わりに運転しても。。」
眼鏡の奥の目が笑った。
「うちで呑むから今はいい。もちろん付き合ってくれるだろう?」
とても忙しそうだから食事の後に職場へ戻るのだろうなと勝手に思い込んでいたので、意外な誘いに何度も頷くと尊人さんは目を細めた。
「雪が積もる前に帰ろう」
「は、はいっ」
外が見えない席だったので時々天窓を気にしながら気持ち急いで食事を済ませて、エントランスまで先に行くとドアに嵌め込まれたガラスの曇りを手で拭う。
「ホワイトクリスマスになっちゃいましたね」
「まだほとんど積もってはいないな、運転には問題無いだろう。傘を借りてくるから待っていなさい」
僕の後ろから外の様子を窺ってぼそりと呟くと、尊人さんはコートを羽織りながら店の奥へと消えた。
「すぐそこまでだから傘なんて要らないんじゃないですか?」
黒い傘を片手に戻って来たところで云うと口元を微かに上げて。
「風邪を引いたら困る」
「あ。お仕事お忙しいですもんね」
ドアを開けるのと同時に広げられた傘の下で、可笑しい事を云う、とでも云いたげな表情を浮かべた。
「私ではない。お前が、だ」
背中、と云うか、腰へと回されてきた腕に促されて、並んで歩きだす。
こちらに傘を差しかけてくれているから向こう側の肩が外にはみ出しているのが気になって仕方ない。
「僕の代わりはいくらでも居ます。でも貴方の代わりは居ないんですから、僕よりもそっちへ傘を」
柄を持った手を押そうとしたら逆に手首を取られて、反射的に後退ると背後に固い物が在った。それに怯んだ一瞬の隙に顎を掬い上げられ、唇を奪われる。
「尊人さんっ、ここ、外。。」
「私が愛している“式部清寿”はひとりだけだ。誰も代わりにはなれない」
驚いて固まってしまった僕を溶かす、再びのくちづけ。
白い息が傘の中で絡まる。
寒さで全身の感覚が鈍っていても、唇と、コートの袖を掴んでいる指先は、鋭敏に体温を感じている。
「プレゼントのひとつも準備出来なかった。これで許してくれ」
ぶっきら棒にそう云うと僕に傘を持たせてから前方へ回り込む姿を目で追って初めて、尊人さんの車を背にして立っていたと知り、運転席のドアが閉まった音で我に返って慌てて助手席に乗る。
前を見詰めている気難しい顔を横から盗み見て、こっそり笑みを漏らすと目聡く見付けて訊いてきた。
「なんだ?」
このまま雪が降り続いて、明日の朝になったら外に出られないくらい積もっていればいいな。でも、そうなっても出勤するって絶対に云うんだろうなと思ったら可笑しくなって、と、正直には答えないで誤魔化す。
「ワイン買って帰るのを忘れないようにしましょうね」
まだ寒くてコートを脱ぐことが出来ない車の中で手を繋ぎ、温もりを分け合う様に唇を重ねた。
―End―
PR
What’s New!!
(01/06)
(11/22)
(11/12)
(12/14)
(05/27)
COMMENT