HYPNOTIC DOLLS annex
企画・リク用別館。 DOLLS・同人・BLに興味の無い方はご遠慮ください。
Give myself to you。。
- 2010/09/09 (Thu) |
- Novel-三上式- |
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三上×式部。
9月21日、
清寿の誕生日の夜の話。。
ひとつ前の話の続きです。
御子柴→式部でもあり。。
苦しくて甘い展開に。
まだ続くかも。。
9月21日、
清寿の誕生日の夜の話。。
ひとつ前の話の続きです。
御子柴→式部でもあり。。
苦しくて甘い展開に。
まだ続くかも。。
―捧げる激情―
もう今日中には声が聴けないと思ってた。
嫌味っぽく云ってやろうと思っていたのに、声が出なかった。
携帯電話に耳を押し当てるようにして、貴方の言葉を聞き逃すまいとしているのが情けない。
そんなに謝らないで。
喋ったら泣いているのがバレてしまうから、そう云ってあげられない。
涙が止まらなくて、咽喉を押さえる。
しゃくり上げる息さえ聞かせたくないと無駄に強がってみても何にもならないというのに。
ずっと待ってたんだよ。
朝からずっと、笑太君にからかわれるくらい携帯電話ばかり気にしていた。
メールだけでもくれればいいのに。
放置されて、ちょっと自棄を起こして初めて自分から誘って笑太君に抱かれて、好きだ、と云ってくれたのに応えられなくて傷付けた。
いつかあの人を諦めるまで待つよと云って髪にキスしてくれた優しさが申し訳なくて、自己嫌悪で吐きそうになりながらうちに帰ってきて、ベッドに蹲って泣いた。
泣き疲れて眠りに落ちそうになった時になってやっと、携帯が震えた。
時計を見ると23時をとっくに回っていて、ギリギリ今日、って時間。
遅い。。遅いよ。
「。。今、どこ。。ですか?」
ほんの少しの時間でもいいから会いたい、と願う。
『お前の家の前に居る』
ベッドの上に跳ね起きて、窓に貼り付くようにして外を眺める。
点滅するライトが見えて目を凝らした。
見間違える訳が無い。
あれは三上さんの車。。
『おいで』
慌てて着替えて髪を整えながら部屋を飛び出した。
「なんとか間に合った」
震える手でドアを開けて助手席に滑り込むように座った僕に、穏やかに微笑みながら静かな声で云う。
「誕生日おめでとう、式部」
横から抱きついて唇を重ねる。
「泣かせてしまったな?」
赤く腫れている筈の目の縁を擦る指を振り払うように、首を横に振る。
「あ。。これは違。。っ」
宥めるように両肩を押さえて腰掛けさせられて、シートベルトを締めるように云われ、その通りにする。
「どこへ。。?」
走り出してしばらくしてから我に返り、運転中の三上さんのスーツの袖を引っ張って訊く。
「その調子だと食事していないだろう?」
予想外の返答に虚をつかれて、ぽかーんとしてしまった。
「もしかしてこれから食事?!」
「そうだ。予約してある」
「。。僕が先に食事しちゃうとか考えなかったの。。?」
楽しそうに、横顔が笑う。
「待っているだろうとしか、思っていなかった」
返す言葉を失って、曖昧に微笑む。
「明日の休みをもぎ取るだけでこんなに遅くなるとはな」
赤信号で停車する度に、膝の上に置いた手の上に大きな手のひらが重ねられる。
「明日お休み。。?」
とくんとくん、と、鼓動が耳の奥に響いて聞こえる。
「ああ。一日一緒に居られる」
僕の休みに合わせてくれたんだ。。
「やっと笑ったな」
三上さんこそ職場では見せないような無防備な笑顔。
それが自分に向けられているのが照れ臭くて、目を逸らして前を見る。
貴方の事を諦めることなんてきっと出来ない。
過去も何もかも自分で話さなくても全て知っていてくれる居心地の良さに甘えて、一番近くに居てこんな僕でも好きと云ってくれる笑太君よりも、僕は貴方を選んでしまう。
「ごめん。。」
本当の気持ちを簡単に口に出せない関係でも、たまにしか2人だけで過ごせなくてもいいから。
「ん?」
「ううん。なんでもない」
好きです。
心の中で呟いて、肩に寄り掛かり目を閉じた。
―End―
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