HYPNOTIC DOLLS annex
企画・リク用別館。 DOLLS・同人・BLに興味の無い方はご遠慮ください。
楽園。。
- 2012/05/09 (Wed) |
- Novel-三上式- |
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三上×式部。
ふたつ前の『kiss kiss kiss― ××× ―』の続き。
恋人の前ではヘタレでも格好良いのが大人の男←
そんな勝手な設定で三上さんがどんどんヘタレ化しているような(笑)
平井堅『楽園』のイメージで。
ふたつ前の『kiss kiss kiss― ××× ―』の続き。
恋人の前ではヘタレでも格好良いのが大人の男←
そんな勝手な設定で三上さんがどんどんヘタレ化しているような(笑)
平井堅『楽園』のイメージで。
― Peccatum Originale ―
「暑っ」
すっと伸びた腕がしなやかに動いて、背中の中程まで長くした髪を頭の高い位置で束ねる仕草をぼんやり眺める。
無駄の無い身体だ。
服を着ていると薄く見えるが、裸になるとしっかりと筋肉が付いていて細いばかりではない。
「清寿」
「はい?」
「背中」
房になった髪に手を伸ばして横に避けると、肩を竦めた。
「背中?」
「赤くなってる」
露わになった肩甲骨の下縁を触れるか触れないかの感じでなぞる指先から逃れるように、身体が離れた。
「くすぐったい!結構赤くなってます?」
「いや、ほんの少し」
答えて腰骨の上に手を置くと上半身だけ半回転させるように振り返り、目を細めた。
「痛むか?」
「全然!怪我するのには慣れてますから」
半分こちらへ向いた左の腹部に手のひらを滑らせて、白い肌に残る引き攣れ硬くなった古い手術痕に触れる。
「あ。。っと、そこに比べたらちょっと赤くなっているくらい、何とも」
自分の傷痕とその上に在る私の手を両手で包むようにして瞼を伏せて微笑む顔は穏やかで、そこから更に太腿まで撫で下ろすとまたくすぐったそうに声を立てて笑った。
「眠くないんですか?」
身体を屈めて顔を覗き込んできた頭を捉え、唇を重ねる。
「眠い」
「なら寝て下さい。明日もお仕事ですよ。また呼び出されないとも限らないし。ねっ、三上部長」
その体勢から横へ転がってベッドの上から見ている顔の、前髪が全部上にあがって剥き出しになった額に身体を起こしくちづけてから仰向けで横になる。
「堅かったからな、あそこは」
頭を上げて清寿は、私を見ながら小首を傾げた。
「あそこ?」
「玄関先で、なんて、年甲斐もなく。。」
家に帰り着いて着替えるのもベッドルームに連れていくのもまどろっこしくて床の上に押し倒し、勢いで抱いてしまったという失態を思い出すだけでも恥ずかしいのにそれをあえて云わせようとするのはささやかな復讐なのか?
さりげなく謝罪しようと努力してみたがやはり云い淀んでしまい、且つ最後まで云わないうちに抱き付かれて言葉の続きを見失う。
「痛みにも慣れてます」
そういう事ではなくて、と反論しようとした時に伸び上がるように顔を近付けてきて、耳に息がかかった。
「ううん。痛いなんて感じなかった」
両腕を背中に回して抱き返すと手のひらが肩甲骨の辺りに触れて、さっき赤くなっていた肩甲骨の辺りを擦ると胸に頬擦りされた。
「僕ばっかりが好きなんじゃないって分かって嬉しかったから、全然へーき」
外では触れることすら自制して、忙しくて何ヶ月もプライベートな時間が取れなくて、だからと云って密かに甘い言葉を掛けてやる訳でも無い。たまに愛していると囁いてやったところで不安になるのは分からないでもない。
「尊人さん、こういう時はね」
上目遣いで私を見る瞳が笑みを含んでいる。
「黙ってないで例えウソでも好きって云ってくれないと大人じゃないですよ!」
不意を突いて強く抱き締めると、触れ合った胸郭越しに激しい鼓動が伝わってきた。それで、慣れた感じの軽い口調で云ってはいても実はそんなに余裕が無いと解って可笑しくなった。
「このまま寝る。おやすみ」
「ええ~。。これはちょっと苦しぃ。。」
「静かに。大人をからかった罰だ」
しばらくはじたばたもがいていた手足が大人しくなった頃、腕の力を弛め頬から唇にくちづけてから答えてやる。
「好きだ。嘘ではなくて、本当に」
泣かせるつもりはなかったのだが、な。
―End―
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