HYPNOTIC DOLLS annex
企画・リク用別館。 DOLLS・同人・BLに興味の無い方はご遠慮ください。
ひとつの嘘とたくさんの真実(ほんとう)。。
- 2011/04/19 (Tue) |
- Novel-三上式- |
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三上×式部。
エイプリルフールの話三上式Ver.
大変遅くなってしまってすみません。。
五十璃Verと璃宮と「嘘」の内容は同じ。
でも多分反応が全然違うんだろうなぁ。。
そんな感じで書いたらくそ真面目な話に(汗
恋愛に不器用な三上さんが主役の話です。
エイプリルフールの話三上式Ver.
大変遅くなってしまってすみません。。
五十璃Verと璃宮と「嘘」の内容は同じ。
でも多分反応が全然違うんだろうなぁ。。
そんな感じで書いたらくそ真面目な話に(汗
恋愛に不器用な三上さんが主役の話です。
―Lie and Truths―
「手を、繋いでもいいですか?」
背後から声を掛けられて振り返る。
いつも云われないと気付かない鈍い私を責めるでもなく柔らかい微笑みを浮かべている清寿へ、手のひらを上に向けて差し出す。
「ああ。すまない」
控えめに重ねられた指を握り締めてから、改めてしっかりと手を繋ぎ直す。
私の仕事を終えてから食事をするといつも深夜になってしまうがその方が人目を気にせず一緒に外を歩けるからいい、と云ってくれる。
「ありがとうございます」
他人行儀な礼の言葉に感じた違和感。
握り返してきた手にぎこちなさを感じたのはそのせいか。
横を見るとそんなことは気のせいだと思わせる楽しそうな表情(かお)をしていて、私の視線に気付くとこちらを向いて笑ってみせた。
「まだ花見には早かったですね」
例年になく冷え込む日が続き、歩道の両脇に植わった桜の枝の先はまだ樹皮と同じ色をしていて、花を咲かせる気配すら無い。
「あと一週間は先のようだな」
その頃一緒に過ごす時間が取れるか分からない。
ほんの数日先の約束すら出来ない。
それを不自由だと感じるようになったのはふたりで過ごしたいと思う時が多くなってきた頃からだ。
歩く速度を落として横に並んだ清寿が私を見上げたかと思うと、不意に大きく一歩踏み出して目の前に立った。
「三か。。尊人さん」
呼び掛けておいて見詰めると目を伏せて、足を止めた。
「もうこうやって会うの、止めましょう」
言葉を失って力が弛んだ私の手を清寿の冷たい指が強く握った。
しかし空いていた左手で頬に触れようとすると、身体を硬くした。
「何故?」
問い掛けても顔を上げようとしない。
「触れられるのが嫌になったのなら。。」
首を横に振って、私の手を握る指の力が強くなった。
「待つのが辛いのなら。。」
長く伸ばした髪が大きく左右に揺れる。
「ならば。。私に飽きたか」
短く切り揃えられた手の指の爪が、私の手のひらに食い込んだ。
約束も、愛情も、確実なものをひとつも与えてやれていない。
この先も、それはきっと変わらない。
何も欲しがらずに寄り添ってくれることに甘えてきた結末がこれだと云うのならば受け入れるしかないのだろう。
「。。すまない」
もし傷付けてしまったのだとしたら、どうしたら償えるのだろう?
手放したくないと思う気持ちが強くても終わってしまうのならば仕方無い。
もう一度、左手を頬へ伸ばす。
今度は警戒されることもなく頬を撫でて、顎を掴んで一気に上を向かせる。
目を閉じて視線を合わせることもせずに唇を重ねる。
おずおずと首に回された手が髪に梳き入れられて優しく頭を撫でてくれるのを感じながら、強く抱き締めてくちづけ続けた。
突然膝が崩れ折れて落ちそうになった身体を全身で支える。
清寿は肩で息をしながら顔を上げて、綺麗な笑みを見せた。
「尊人さんスゴ。。ここ外だし誰に見られてるか分からないのに、もうちょっとで困ったことになっちゃうところだったっ」
繋いだままの手の甲で唇を拭うと熱を帯びた吐息が指先に当たった。
「今の、嘘なんです」
赤く染まった頬まで私の手を導くと、あっけらかんとした口調でそう告げた。
「。。え?」
「今日何月何日か覚えてます?」
今日は年度初めだったから4月の1日。。
「エイプリルフールか!」
にこにこと笑って頷く清寿にまたも言葉を失って、大きく太い息を吐く。
「もっとクールにあしらわれるかと思ってたから。。嬉しかったです」
長い睫が伏せられて顎を軽く上げてくちづけを待つ表情(かお)には答えずに、指先で唇を撫でる。
「怒って。。ます?」
不安そうな上目遣いに弱い自分に呆れて深い溜め息をつく。
こんな時気の利いた嘘のひとつも返せないこんな私でも良いのなら、可能な限り傍に居て欲しい。
そう素直に云えない歯痒さを、渋面で誤魔化す。
「そういう他人を試すようなことは好きではないな」
謝罪の言葉を云おうとしたのか開きかけた口元を唇で捕えて黙らせる。
背中にしがみ付いてきた腕の力の強さに安堵して、その身体を包むように抱き取って自分以外には聞こえないような小さな声で呟く。
「もう他人では無いようだが、な」
―End―
「手を、繋いでもいいですか?」
背後から声を掛けられて振り返る。
いつも云われないと気付かない鈍い私を責めるでもなく柔らかい微笑みを浮かべている清寿へ、手のひらを上に向けて差し出す。
「ああ。すまない」
控えめに重ねられた指を握り締めてから、改めてしっかりと手を繋ぎ直す。
私の仕事を終えてから食事をするといつも深夜になってしまうがその方が人目を気にせず一緒に外を歩けるからいい、と云ってくれる。
「ありがとうございます」
他人行儀な礼の言葉に感じた違和感。
握り返してきた手にぎこちなさを感じたのはそのせいか。
横を見るとそんなことは気のせいだと思わせる楽しそうな表情(かお)をしていて、私の視線に気付くとこちらを向いて笑ってみせた。
「まだ花見には早かったですね」
例年になく冷え込む日が続き、歩道の両脇に植わった桜の枝の先はまだ樹皮と同じ色をしていて、花を咲かせる気配すら無い。
「あと一週間は先のようだな」
その頃一緒に過ごす時間が取れるか分からない。
ほんの数日先の約束すら出来ない。
それを不自由だと感じるようになったのはふたりで過ごしたいと思う時が多くなってきた頃からだ。
歩く速度を落として横に並んだ清寿が私を見上げたかと思うと、不意に大きく一歩踏み出して目の前に立った。
「三か。。尊人さん」
呼び掛けておいて見詰めると目を伏せて、足を止めた。
「もうこうやって会うの、止めましょう」
言葉を失って力が弛んだ私の手を清寿の冷たい指が強く握った。
しかし空いていた左手で頬に触れようとすると、身体を硬くした。
「何故?」
問い掛けても顔を上げようとしない。
「触れられるのが嫌になったのなら。。」
首を横に振って、私の手を握る指の力が強くなった。
「待つのが辛いのなら。。」
長く伸ばした髪が大きく左右に揺れる。
「ならば。。私に飽きたか」
短く切り揃えられた手の指の爪が、私の手のひらに食い込んだ。
約束も、愛情も、確実なものをひとつも与えてやれていない。
この先も、それはきっと変わらない。
何も欲しがらずに寄り添ってくれることに甘えてきた結末がこれだと云うのならば受け入れるしかないのだろう。
「。。すまない」
もし傷付けてしまったのだとしたら、どうしたら償えるのだろう?
手放したくないと思う気持ちが強くても終わってしまうのならば仕方無い。
もう一度、左手を頬へ伸ばす。
今度は警戒されることもなく頬を撫でて、顎を掴んで一気に上を向かせる。
目を閉じて視線を合わせることもせずに唇を重ねる。
おずおずと首に回された手が髪に梳き入れられて優しく頭を撫でてくれるのを感じながら、強く抱き締めてくちづけ続けた。
突然膝が崩れ折れて落ちそうになった身体を全身で支える。
清寿は肩で息をしながら顔を上げて、綺麗な笑みを見せた。
「尊人さんスゴ。。ここ外だし誰に見られてるか分からないのに、もうちょっとで困ったことになっちゃうところだったっ」
繋いだままの手の甲で唇を拭うと熱を帯びた吐息が指先に当たった。
「今の、嘘なんです」
赤く染まった頬まで私の手を導くと、あっけらかんとした口調でそう告げた。
「。。え?」
「今日何月何日か覚えてます?」
今日は年度初めだったから4月の1日。。
「エイプリルフールか!」
にこにこと笑って頷く清寿にまたも言葉を失って、大きく太い息を吐く。
「もっとクールにあしらわれるかと思ってたから。。嬉しかったです」
長い睫が伏せられて顎を軽く上げてくちづけを待つ表情(かお)には答えずに、指先で唇を撫でる。
「怒って。。ます?」
不安そうな上目遣いに弱い自分に呆れて深い溜め息をつく。
こんな時気の利いた嘘のひとつも返せないこんな私でも良いのなら、可能な限り傍に居て欲しい。
そう素直に云えない歯痒さを、渋面で誤魔化す。
「そういう他人を試すようなことは好きではないな」
謝罪の言葉を云おうとしたのか開きかけた口元を唇で捕えて黙らせる。
背中にしがみ付いてきた腕の力の強さに安堵して、その身体を包むように抱き取って自分以外には聞こえないような小さな声で呟く。
「もう他人では無いようだが、な」
―End―
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