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HYPNOTIC DOLLS annex

企画・リク用別館。 DOLLS・同人・BLに興味の無い方はご遠慮ください。

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お題『イヤホン』その2。

u-様よりのお題『イヤホン』別バージョン。。

御子柴×式部。

特に何も起こらない。。
ごく普通の日のある部分を切り取ったような話を書きたくなって。
最近ちゃんと御子式を書いていなかったから反動←

タイトルはm-flo loves YOSHIKAの曲名より。
切なくて美しい、素敵で大好きな曲です。
是非それを聴いてから or 聴きながら読んで欲しいな。。


―let go―


広い背中を追って歩く。
数歩下がって、君の隣を。

「清寿。帰るぞ」
「あ、はい。羽沙希君お先に」

足が長いから歩幅が広くて追い付けない。
だから頑張って早足で歩く。
職場でもプライヴェートでもそれは同じ。
2人が3人になっても変わらない。
そこが僕のポジション。

「寒くなったね」

ドアを開けて1歩外に出た途端、風の冷たさに驚いた。
星の光る空を見上げてひとつ身震いをしてから前を向くと、君はもう先に進んでいた。
任務完了報告の後ひとり残って三上部長達と話をして、戻ってきてからずっと機嫌が悪い。
肩を竦めるようにして歩いているせいか、君の背中がいつもより少しだけ小さく見える。

何の話をしたんだろう?
また単独任務?
潜入捜査とか囮捜査とか。。。?
危険な任務じゃありませんように。


どんな話をしたか訊けないのは、笑太君がイヤホンをしているから。


君がイヤホンを使って音楽を訊いている時は、話したくない時か、話せない事を抱えている時。
長く一緒に居るということは分かってしまうということで、余計な遠慮が邪魔して声が掛けられない。

でもひとつだけ。
訊かなくても分かっていることもある。

そんな時はひとりになりたいのではなく、孤独になりたいだけ。
本当にひとりになりたいのなら僕に声を掛けずに帰ればいい。
傍に居るのを許されている。。。僕の存在がほんのちょっぴりでも君の支えになっていると思うのは買い被りかな。。。

はぁっ。

自分が吐いた息で視界が真っ白になる。
こんなに寒くなると分かっていたら手袋を持ってくれば良かった。
そう思いながら両手を擦り合わせる。

「寒くなったな」

振り返って、笑った。
君の息も真っ白だ。

立ち止ってくれていたからやっと追い付いて、横に並ぶ。

「ほら。これ、して」

自分がしていた手袋を外して、投げて寄越した。

「え?!。。。あ。うん。。。」

君の体温の残る手袋はサイズが大きくて指先が余る。

「それと、これ」

片耳にスポッとイヤホンがはめられた。

「。。。っ!?」

片方の手が掴まれて。
そして君は、僕の手ごと自分の手をコートのポケットに突っ込んだ。

「ごめん。考え事してた」

ポケットの中で指が絡められ強く握り締められる。

「ん。。。」

頷いただけで、肩に寄り添う。
何も訊かない。
何も。。。訊けない。

「いい曲だね」

ひとつのイヤホンで同じ曲を聴きながら、肩を並べて歩く。
このままこうして居られればいい。


死よりも、憎しみに飲み込まれるよりも、笑太君の隣という居場所を失うのが怖くて僕は臆病になった。


―End―

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自己紹介:
『DOLLS』(naked ape原作)
二次創作サイト運営。
基本は御子柴×式部。
その他もあり。。かも?

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